窓に映る君を眺めをり月ではなく
looking your face
reflecting on the window
not the beautiful moon


  観ていなかった「風立ちぬ」DVD借りてきて観た。とても良かった。
  これはかなり大人向け、しかも男性向けの内容と感じた。一言で言えば、宮崎監督の戦闘機へのアンビバレントな思いの結晶である。類い希な性能から、愛さないではいられない戦闘機。だがそれは戦争を前提として存在する呪われた存在でもある。劇中では、イタリアのジャンニ・カプローニという飛行機設計技師が、主人公の夢の中にのみ現れる。カプローニは主人公堀越二郎に問う。「君はピラミッドがある世界とない世界とどちらを選ぶかね?」いいものを作らずにはいられない欲望がある故に時に悲劇ももたらす世界と、そのようなものがないかわりに新しいものを生み出す興奮のない世界と、どちらを選ぶかね。答えのない、悪魔の問いである。「ファウスト」のメフィストフェレスよりずっと悩ましい問いかけだ。
風立ちぬ [DVD]

大花火

大花火君に棲むもの祓はれよ
large fireworks,
exorcise
something live inside you



  圧倒的な句を前にすると、同じテーマの句はなかなか出しづらいものである。鎮魂の思いが切々と籠もったこの句の前に、私の句は何とも薄っぺらさが否めない。
  


  大花火蘇りては果てにけり     照井翠「龍宮」



  この句の前に吹雪の句を作りにくいのと同様に。


  

  七生七たび君を娶らん 吹雪くとも    折笠美秋「君なら蝶に」

遠花火

遠花火より流れ星流れ来る
shooting stars
come from
far fireworks


  今日は十勝の花火大会。凄まじい人出とのことで、観に行かなかったが、音は聞こえてきた。そういえば今宵はペルセウス座流星群のピークでもあるはず。こちらも月が出て星そのものが見えないコンディションだが、放射点の方角はたしか同じくらいのはず。