2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

群肝

群肝に鱗生やせり十三夜 魚の鱗を取りながら思い出したのだが、昔、子供の頃通っていた耳鼻科の待合室に、蛇女の漫画が置いてあった。女の子の体が、はじめはほんの一部から鱗に変化して、徐々に広がり、ついには全身鱗の蛇になってしまう話で、怖くてしょう…

牧神

牧神の迷宮にも月射す今宵 映画「パンズ ラビリンス」を観てきた。訳せば「牧神の迷宮」である。古代の遺跡らしい、牧神の彫刻が中央に据えられた迷宮が登場する。 予想よりずっとハードな映画だった。メルヘンチックな雰囲気のポスターや予告CMの映像から、…

満月や銀の魚の鱗梳く 旬の秋鮭をクリーム煮にした。煮付けるときは鱗をすかないと口当たりが悪くなる。ここだけは丁寧に。

我の顔の曲がる辻道かはたあれ とっぷりと暮れるのが早くなり、夕暮れ時も陽が低くなったせいで妖しい眩しさ。

ナナカマド

街角のティファニーランプ七竈 街路樹のナナカマドが色づいて、夜になると街灯に影絵のように透けて見えて綺麗。

雪虫

雪虫は舞ふドレミレドレミファソラ 今日初めて雪虫を見た。ああもう秋も終わりだなあ、と思う。

くだり道碧き眼をして立ちつくす 短日性の憂鬱に見舞われる今日この頃。日が短くなると人は鬱になりやすいそうな。人間も自然の影響を受けるイキモノだということである。

野菊

野菊咲いて咲いて咲いてひとりかな 野菊の季節も終盤。火曜日には初霜も降りた。

埋める

埋めても埋めても蒼き思慕の泡 急激に寒くなり、今日も曇って暗い一日だった。北海道の秋はあわただしく、駆け足のように行ってしまう。

ガラス

月光やガラスの館砕け散り キュー植物園の温室のような、巨大な古いガラスの建物の中を何かに追いかけられて逃げる夢を見た。こういう「屋敷の中を逃げ回る」夢は時々見る。

水母

未確認水母警報稲光 相変わらず変わりやすい天気、毎日必ず晴れ間と雨である。

雷光

雷光や抽象に嫉妬する具象 この時期天気がめまぐるしく変わるのは毎年のことだが、今日も雷雲のような厚い雲が立ちこめた。そして時々音もなく強いストロボのような雷光が走った。光だけの雷というのは初めて見た。 今日は注文した現代俳人文庫の夏石番矢句…

ゲバラ忌

ゲバラ忌や生のままのレモンハート注ぐ 今日はチェ・ゲバラの没後40年目。 享年は39歳だったという。レモンハートはラム酒の銘柄。40度のと75度のがあるが、どちらを連想するかは読み手の好み次第である。

大気濃し陸の夢みる魚のため 魚の形が好きである。特に、マグロの、極限まで無駄のない流線型は美しい。また、シーラカンスなど古代魚の、魚として生きることを全うしきれない不完全さも面白い。

玉葱

生きるとは玉葱の皮を剥くごとく 剥いても剥いても芯の見えない玉葱を、剥き続ける毎日であるような気がするのは、秋だからだろうか。いや実際に毎日追われるように剥いているのだ。収穫の秋、20キロほどの玉葱を直売所で買ったから。

蟷螂

蟷螂を肩に乗せたる少女の眸 先々週、東北に行ったときのこと。函館から4回目の乗り換え列車はロングシートの普通電車で、日もとっぷり暮れた夕刻、通勤通学の乗客で一杯だった。その中に、セーラー服の白襟も清々しい中学生の女生徒が4,5人。何気なく見…

中秋や待ちわびし書の届きたる 早川志織の歌集「種の起源」を入手した。嬉しさのあまりちびちび読んでいる。1993年出版だが既に品切れで、ほぼ十年探し続けてどうしても見つからなかったのが、ひょっこりネットオークションに出たのだ。手に入るときはこうし…

水母

氷りつく水母おぼろに霧の森 夢ネタものをもう一つ。 空を飛んでいた。地上は渦巻く雲と霧の下だったが、徐々に下降するとそこは針葉樹の森だった。濃い霧の渦の間から藍色の針葉樹が見えた。地上に降り立ち、少し歩くと切り立った岩の崖がそびえていた。上…

核爆発の夜

俳句大会の時に買った本が重たいので、宿からごっそり送り、しばらく不在の予定だったので遅れて着くよう指定したのがやっと届いてきた。その中から、夏石番矢先生の「無限の螺旋」を読んだ。夢を詩にしたシリーズがあり、とても面白かった。私も夢見は激し…