核爆発の夜

  俳句大会の時に買った本が重たいので、宿からごっそり送り、しばらく不在の予定だったので遅れて着くよう指定したのがやっと届いてきた。その中から、夏石番矢先生の「無限の螺旋」を読んだ。夢を詩にしたシリーズがあり、とても面白かった。私も夢見は激しい方なので変な夢を見て、俳句や短歌や詩にしている。今日は以前、夢に見たことをそのまま詩にしたものを。


核爆発の夜


ビデオデッキにビデオを差し込む
刹那上がる叫び
歪むブラウン管と同じ
青白い光
行って戻る紺色の爆風
飛び散る火花
消える電気
なぜか割れぬ窓
このビデオまだ見てないのにと
思って悲しくなった


右の足首にやけどをした
ひりひりと痛み
ぶつぶつと穴があき
じりじり音がする


誰も死んでない
家族と寄せ合う肩
でも外には出られない
焼け残ったのは
町のごみ焼場だけ
ごみを出す人はもういないのに


帰り道
北へ向かう友と出会う
ここから先は放射能が強いから気をつけて と
声をかけた
まるで
雪か何かについて話したかのように


西の空は赤く燃えている
やがて星のない夜が待っている
人々は影のように歩き
私も帰る
痛む足を引きずりながら