2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

靴音

靴音や明朝体と交わす愛 図書室の緊張感のある静けさが好きだ。「迷路」「森」「静けさ」「葉」。私が好むところのいろいろなキーワードが図書室にはある。

月欠けて月の障りも終はりゆく 吹雪が去って夜快晴、欠け行く月を見ながら、自分も月とシンクロしているんだろうか、と思ったりして。

月齢

moon phase 眼にあをき箔入れてゐる 夜が本当に長くなった。昨日までは、昼でも建物の中は暗かったが、今日からは明るくなった。雪が積もったからである。

山裾の雪ふる里の柿の朱 連休中仕事で福島へ行ってきた。仙台まで飛行機で飛び、仙台から福島まで新幹線。まだ11月だし、東北も南だからと高をくくって薄着して行ったら意外と寒く、あわてて安いストールを買う始末。車窓から見える風景もうっすらと雪が積…

寒気団

寒気団暖気団ゐる衛星図 寒気が入ってきた。まだ11月だのに、今日は猛吹雪。やれやれ、である。

月の雪

月の雪膝を抱く君愛しけれ 今日は道内一部警報が出たほどの暴風。夜も月が出たと思ったら月の横から横殴りの雪が降ってきた。

百枚の襖開けても誰もゐぬ 変な夢を見た。「屋敷を逃げ回る」もののシリーズである。私は大きな日本家屋の中を逃げ回っている。一番奥の部屋へ逃げ込むとその奥には閉じた襖があり、それを狂ったように開けるのだが、そのすぐ数十センチ奥にまた閉ざされた襖…

アトム

誘蛾灯おぼろアトム叙事詩の蠅人記 手塚治虫のコミック「鉄腕アトム」には、今の歳になって読んでも深い物語がたくさんある。ロボットを未来社会の被差別者と位置づけ、アトムを人間とロボットの架け橋となる存在として描いている。また、ロボットは支配者で…

びゃうびゃうと紫闇の嵐髪 今日は嵐、雨風が吹き荒れているようだ。

初雪

流星は初雪になり降つてくる 今日は初雪。一気に寒くなった。いよいよ冬突入である。 詳しくないが、火曜の夜みた流星は、しし座流星群か、おうし座流星群らしい。

オーボエ

オーボエにも肌逆撫でられてゐる夜寒 自分の自信とかが地に落ちているときは、何をしても心が癒されない。

絶対零度の泡酒一献冬の星 今夜は星が凄かった。低気圧が去って、大気の塵を吹き飛ばして行ったのか、星が大きく見え、しかもまだ風が強いので瞬きもビカビカと燃えるよう。冬の星は青いので、冷たい炎が燃えているようである。流れ星も、結構大きいのがいく…

射干玉の黒髪を梳く黒きまま 髪を切りに行ってきた。以前、明るく軽めのシャギーが流行だった頃、美容院に行くたびに髪を染めないか染めないかと勧められた。髪が太くて量が多く、重たい印象に思われたのだろう。茶色にすると明るい印象になりますよ、とのこ…

書架

移動書架開けば異界への扉 移動書架はどうも苦手だが、狭い空間にできるだけたくさんの書物を収納するには不可欠なものである。開ききるまで待つのがじれったいのだ。かといって途中で止めると不具合がおきる。

芋喰へば芋の肝魂の味 ジャガイモの品種キタアカリは甘くて美味しい。直売で箱単位で買って毎日食べている。特にマッシュが美味しい。マッシュで5,6個つくると結構な量になり、2回ほど付け合わせでそのまま食し、それでも残ったらスープに溶かして食べる…

蛾の眉を己の顔に貼つてゐる たまに頭痛がひどくなる。眉間に皺を寄せすぎて眉の当たりの筋肉が痛くなり、更に頭が重くなる。デスクワークが多くなるこの季節ながらの不調。

円錐

晩秋にくづれる円錐またひとつ 紅葉ももう最後の名残が残っているだけ。北海道の11月は冬であり、しかも体が慣れていないため体感温度は一年で最も低い。

図書室

書庫深く蚯蚓の図譜は潜みをり カタコンベの静けさ湛え昏き書架 産毛立つ裁断機には近寄らぬ 秋草は西日に揺れて花図鑑 背表紙の明朝体や金枝編 ぱたんと閉じる記憶の蝶がひらひらと 吟遊第36号投句作。今回はテーマ「図書室」で統一してみた。一句目は以前…

頭蓋骨と肋骨籠の中の蟻 胸の中に蟻がいるような、頭の中に蟻がいるような、落ち着かない一日だった。