2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

半月

ぱつくりと真二つの月他人顔 今日は綺麗な半月。夜はずいぶん寒くなった。

蜻蜒

薬指に君の目玉の指輪欲し 部屋にまたしても来客、今度は大きなトンボであった。調べるとアオヤンマという種類らしい。ターコイズグリーンの体に、オパールのような不思議な輝きの眼が実に美しい。

朝虹や変曲点を見つけたり 天気が変わりやすくなった。雨と晴れが交互にやってきて、その間に虹が架かる。田舎の虹はフルスケールで大きい。

遠囃子

お囃子の遠きを聴けば草の家 今日は町の秋祭りだった。御神輿やお囃子の音は、常に故郷の思い出とセットである。

龍天

ももいろの竜駆ける空黄金晴れ 昨日今日と最高に晴れた空。雲ひとつないと夕陽は赤ではなく金色なのだが、わずかにたなびく雲はピンク色に染まる。

きのこ

森の中人形茸の累々と 畑に白いオバケみたいな形のキノコが生える。正確な名前は知らないが、ノウタケかホコリタケの一種らしい。若いうちはマシュマロみたいな、ニョロニョロみたいな、オバQみたいな見てくれである。しばらくすると茶色くなり、表面もカサ…

フーガ

フーガ鳴る空飛ぶものの居る不思議 畑にごろんと横になっていると、虫だの鳥だのが空を横切っていくのが見える。日頃は気にしていないから気づかないが、ずっと見ていると地球の大気にはこんなに沢山の生物が棲んでいるのかと思う。

セロ弾きのゴーシュ

理想のひとはセロ弾きのゴーシュ秋深む 空も風もめっきり秋、芒と野菊が咲く野も秋の貌になった。クラシックと物語に耽りたくなる秋である。

回遊魚

回遊魚となりて樹海を泳ぎけり 昨日今日、休暇を過ごしに十勝へ行った。日勝峠を越える樹海ロードは連休とあって車出が多く、特にバイクが沢山走っていた。大概数人〜十数人の団体で、車を縫うようにひゅんひゅんと追い越していく。何台ものバイクに追い越さ…

冷やしラーメン

天高し冷やしラーメン名残かな 冷やしラーメンは北海道に来て大好きになった食べ物のひとつである。その年の「冷やしラーメン始め」から、「冷やしラーメン仕舞い」まで味わい尽くすのが幸せである。今年は、最後の冷やしラーメンを食べに行くタイミングを逸…

金狗尾

金色の野に降り立てば東風 キンエノコロがたくさん穂を出している。西日に照らされて綺麗。「そのもの青き衣を纏いて金色の野に降り立つべし・・・。」

宇宙人

宇宙人の切り身ひときれアオブダイ 時々酒に酔って、いろいろなものに句を書き留めていることがある。大概、そんな句を書いたことを翌朝綺麗サッパリ忘れている。これもその一つ。 アオブダイは南方系の魚で、イソギンチャクを捕食するため、その毒が魚に移…

微分

されば君而して我を微分せよ 数学の世界における無限の概念には、時にある種のロマンチシズムを感じる。高校で習った微分の接線とか、無限に近づくとか、そんな断片的な記憶を確認するため検索していたら、直訳すれば「私を微分して」という英語か何かの愛の…

灼けた道一把の菜っ葉の轢死体 ここ数日は秋晴れで気温の割には日差しが痛い。

冷蔵庫

冷蔵庫ぶぶびと転送する何か 今週行った出張で泊まった宿がなかなかに古めかしく、瓶ビールなどが入っている冷蔵庫が定期的に「びぃ〜ん」と鳴るので夜少々気になった。気になったが仕事の疲れであっという間に寝てしまった。

蜻蛉

蜻蛉朔日陽気な亡者溢れけり 急に涼しくなり、蜻蛉も一気に増えだした。蜻蛉朔日(釜蓋朔日)とはお盆の頃を指すそうで、北海道でもちょうどそのころから空に蜻蛉が増える。蜻蛉は亡くなった人の魂が現世に帰ってくる姿と言われている。

ルコウソウ

様々の好きのかたちや縷紅草 先日通りかかった農家さんの庭先に、綺麗にルコウソウを這わせたオブジェが置いてあった。ルコウソウ、懐かしい。すごく久しぶりに見た気がする。朝顔のように蔓になり、真っ赤な星形の花を咲かせる。小学校の頃、家の庭にも朝顔…

鰯雲

好きなんて言えやしないよ鰯雲 まだ暑いが、先週あたりからだいぶ空が高くなってきた。秋の空はなんとなく憂いの雰囲気。昔のほろ苦い記憶が思い出されてきたりして。

毒瓶や君を捕らへるために買ひ 我のみのものにするため毒流し 引き続き、夏井いつき氏の「続・絶滅寸前季語辞典」を読んでいる。読んでいて不思議に思うのだが、ある言葉を季語と定義づけるのは、いつ、誰が、どのようにして決めるものなのだろうか。歳時記…

焼酎

いつぱいの阿剌吉酒ほどの恋捨てし 世は焼酎ブームとて、酒屋に焼酎は各種取りそろえられている。味も香りもさまざまであるが、私はパンチのある風味が好き。ガツンとアッパーカットを食らって、そのままそこに沈むようなのが良い。