2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

雀蛾

雀蛾を掌中に君のこと想ふ 吟遊投句作品。6月13日http://d.hatena.ne.jp/alzira/20070613の句の改作。小鳥のような大きな蛾を手の中に捕らえていると、生殺与奪も我が胸三寸の状態を一瞬意識する。

桃花粉蒐集人の仕事靴 吟遊投句作品。桃の花粉を扱うのが仕事、という人もいることを知った。実際は地道な仕事なのだろうが、何と雅な響きだろう、と思った。

海走る花風を飛ぶ魚夏来る 吟遊投句作品。「海を走る花・・」が上記のように直った。海を走る花とは、西表島の海に生える草「ウミショウブ」のこと。夏のある日、海中に生える草から白い可憐な花が浮かび上がり、海面を走り出すという。走るのは雄花で、開く…

案山子

影法師ひとまわりして案山子かな 吟遊投句作品。畑に仕事をしに行ったら、近接する畑に案山子が立っていた。昔風のではなく、棒に青いつなぎと赤い野球帽をかぶせたもので、一見人に見えなくもなく、ぎょっとした。当然一日中そこに立っていて、影だけが朝か…

吟遊

紫の蝶の夢見る独裁者 一人にてスープカレーの骨しゃぶる また眠いフェイズに突入中。目を開けていられない。一旦寝てから今起きて書いている。 吟遊35号が届いた。今回の投句は上の二つを推薦句としていただいた。今回はちょっと自信がなかったが、嬉しい。…

君のその顔今初めて見た心地 何故だかよくわからないが、普段良く見知っている人の顔が、全く見知らぬ人のような気になることがある。既視感の逆?どういう心理なのだろうか。

パプリカ

パプリカをかりりと食めば弁財天 筒井康隆の小説が原作というアニメ「パプリカ」を観た。夢がテーマということで、関心のあるテーマなので観たのだが、今ひとつよくわからない話だった。この「今ひとつよくわからなさ」が魅力ということなのだろう。一つ感心…

ピカソ

玉の汗滴るピカソの雄牛かな 久しぶりに暑さ回復。嬉しい。久しぶりの暑さのせいかどっと汗が噴き出す。 ピカソの版画からは、汗と埃と、強い日射しの臭いが漂ってくる。

遠花火

昂ぶりし日の胸の音遠花火 近所の夏祭りで花火があり、通りがかりに少しだけ見えた。私には忘れられない花火がある。学生時代東京にいた頃、多摩川の花火大会へ繰り出した。そこで見たスターマインが、それはそれは素晴らしかった。最初は棒状の火の粉が上が…

羽蟻

羽蟻らの恋ふは女王かまた空か 職場の古い建物に毎年羽蟻が発生する。群飛という現象で、新女王が独立し、百も千もの雄蟻を従えて結婚飛行を行うのである。巣がどこかの隙間にあるのだろう、窓にびっしり集って、外に飛びださないまま数多くが死んでしまう。

銭苔

銭苔の笠一面の夏野かな ゼニゴケはわりと好きである。地球外生命体のような不思議な姿を近寄って観察すると、異世界の森を探検しているような、空想を憶えてしまう。ゼニゴケばかりの野を行く夢まで見てしまったりして。

木の雫

雨降らしの木立をくぐり星街へ 松の木の木立の下をとおると、ぽつりと雫が落ちてくる。雨ではなく、木が体内の余分な水分を葉の先から排出する出液という現象である。木の下に車を止めると、雨の降り始めと思うほどの雫がフロントに付いてくる。今年は特に多…

君の魚泳ぐ文月十日かな 室生犀星の詩に「信濃」というのがあり、好きである。「雪というものは物語めいて降り・・・」という詩である。最近、犀星が魚眠洞の号で俳句も作っていたことを知り、句集を手に入れてみた。わりとスタンダードな有季定型のなかに、…

野薊

触れれば痛し野薊の孤高かな 薊が咲き出した。本州のそれよりずっと大きく、棘も鋭い。写真を撮るため接近し、ちょっと接触したただけで結構痛かった。

遠花火

セロを負ふ少女の夢や遠花火 今日は近隣の街で花火大会があった。近くに車で通りかかり、信号待ちで停車しているとスターマインが打ち上がって、よく見えた。信号の所に、学校の部活帰りなのだろうか、チェロのケースを背負った高校生か大学生くらいの女の子…

半夏生

我が空に君が降り来る半夏生 半夏生は七月上旬の七十二候のひとつ。wikipediaによれば、この日は天から毒気が降ると言われ、井戸に蓋をして毒気を防いだり、この日に採った野菜は食べてはいけないとされたりしたという。

眠気

星々の落ちるを追へば眠たけれ ここ数日、異様な眠たさに襲われている。日中も眠気を振り払いながら仕事をし、夜も食後目を開けていられない状態になってしまい、気が付くと、服のまま、見ていたDVDのタイトル画像が繰り返し流れていたりする。おかげで二日…

手振り

熱弁が視える上司の大手振り 上司が来客の対応をしているのが遠くから見えて、声は聞こえないが、オーバーな手振りから熱く語っているのが見て取れた。プレゼンテーションの流儀は人それぞれで、しとしとと染みこむように語る人もいれば、熱弁でカブいて印象…

いつか見た川のほとりの柳かな 川のそばに散策コースに行ってみた。柳の木が茂り、涼しげな木陰である。バスケットにパンとチーズとワインでも持って行きたい感じ。

草の海

草原の珊瑚礁にも風薫る 牧草地には、イネ科の牧草(○○グラスと呼称される草)だけではなく、クローバーなど花を付ける草も生えている。花を付ける頃になると、航空機から見た珊瑚礁のような華やかさになる。

夏雲雀

炎天下喧嘩囀り夏雲雀 外で仕事をしたのだが、複数の雲雀がずっと鳴き通しで、とても五月蠅かった。やがて、縄張り争いででもあろうか、二匹が囀りで対決を始めた。それまでの鳴き声とあきらかに違う、アドレナリンの込もった鳴き声である。まるでDJバトルの…

夜寒

アンタレスも沈みて夏の夜寒かな ここ数日日中は暑いが夜は寒い。半袖では肌寒いほどである。

桃色月

日曜の夜なればももいろの月 月の周期から、一日に満月になるとその月の三十日にもう一度満月があり、二度目の満月のことをブルームーンというそうである。先月の六月三十日はブルームーンだった。しかし、翌七月一日の月は綺麗なピンク色。地平近くに昇って…

夜蛾

夜蛾の仔を終日潰しあぶら雲 畑の豆の苗が、ときどきしおれていて、抜いてみるとぽっきり根元が何かに噛み切られていることがある。これは夜蛾の幼虫の仕業で、根元の土を掘ってみるとくろぐろとした芋虫が潜んでいる。夜になると土から出てはい回り、隣の苗…

山葵

幸寿司の山葵ほどには泣かされて 先週はちょっとした諍いをして、グスンという場面もあったけど、単純なもので週末に美味しいビールと美味しいものを食べれば解消、明日はまた元気に仕事ができそうである。