2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

春寒

寒いやら暑いやら花曇り これは2年前の句だが、日付を見ると4月30日とある。同じ暦日でも、今年は「暑いやら」を感じることはほとんどなく、花曇りの「花」もない。今年はやっぱり寒い春なのだな、と思った。

送電塔

夕陽に向かって送電塔も歩き出し 近所に、送電塔が西の札幌方面に向かってずらっと立っているのが見えるところがある。夕日が真っ赤な時刻にそこを通ると、送電塔がシルエットになって見え、巨神兵のように歩き出しそうに見える。谷内六郎の絵のような風景。…

通り雨

水面に円つぎつぎと通り雨 今年の春は天気が本当に変わりやすい。今日も2回ほどにわか雨があった。

牧神

耳鳴りや牧神パーンの笛のをと 魔笛のパパゲーノが吹いているのはパンフルートだっただろうか。パンフルートは牧神パーンが吹く葦笛。パーンの笛は人の心を狂わせるとされ、「パニック」の語源ともなっている。葦笛の音色には癒されこそすれ、神経に障ること…

モーツァルトⅢ

モオツアルトよりひとつ歳取り春の空 モーツァルトが亡くなった歳とほぼ同年代になり、これまでの年であれだけの曲を書き残したと思うと改めて凄さを実感する。本当の天才は常に天からインスピレーションがダウンロードされ続け、それを具現化するのに追われ…

モーツァルトⅡ

変ロ長調 空澄み過ぎて哀しかり モーツアルト最後のピアノコンチェルト第27番はモーツアルトの中で私が最も好きな曲のひとつである。あまりにも純粋で美しく、明るすぎるが故かえってもの哀しい。モーツアルトの最後の演奏会はこの曲を演奏したという。モー…

角笛

牧神の角笛の響きイ長調 先週の「誰でもピカソ」がモーツァルト特集だったので、少しくモーツァルト気分を触発された。名画「アマデウス」の場面が断片で流れ、20年前の映画と紹介された。「えっもう20年?」というショックは置いておいて、公開当時本当に夢…

夜光杯

魂を西に飛ばして夜光杯 夜光杯をひとつ手に入れた。シルクロードは敦煌の名産品である。値段は比較的安いお土産品なのだが、それに見合わないほど美しく、贅沢な気分にしてくれる。有名な「葡萄の美酒夜光の杯〜」を気取って、干しイチジクをつまみに甘めの…

雲雀

春麦を播く空高く揚げ雲雀 今日も雲雀がさえずっていた。雲雀にとっては恋の鞘当ての季節、さえずったり縄張りに入ってくるライバルと喧嘩したり、なかなか忙しない。

耕鋤始

初雲雀耕鋤始を祝ひけり 春播小麦の種まきが始まった。相変わらす薄寒い天気の中ながら、雲雀の初鳴きも聞こえた。「耕鋤始(こうじょはじめ)」とは、その年初めて畑を耕起した日のこと。降雪始や、梅雨入り、梅雨あけといった季節を表す用語であるが、その…

オーボエ

オーボヱの響き眠たし昼下がり 先日車を運転しているときに、ラジオで譜面の起源と歴史について、音楽付きで解説していた。中世ヨーロッパ風の音楽で、聴いているだけでその辺の木陰から、騎士や乙女や農夫や修道士が今にも現れそうな気がしてくるから不思議…

強風

龍神の渡りて木々の夜鳴りかな これも春一番か、風がとても強い。

春雨

聴き入ればしとしとぴっちゃん春の雨 今日は温かい雨。霧も濃く、水蒸気が立ち上るような一日であった。雨はこの春初めてではないが、今までのは雨でもみぞれ混じりで、雪の延長線上のような雨だった。今日初めて、本当の「雨」を感じた。雨だれの音も心なし…

怒り

黒々と怒りの蜷局の鎌首や 仕事上の怒り。怒りをため込んでしまうのが我ながらよろしくない性格だと思う。

春寒

春の寒さや月の細さも冴えるなり 今年の春はいつになく遅い。数日前は軽く吹雪いた。春恒例の荒天も例年より激しい。

ビール

休日やビィルの小瓶らつぱ飲み とあるところでヱビスの小瓶を見つけて、買い込んでしまった。アメリカの青春映画の影響というわけではないが、私は小瓶のビールは断然喇叭飲み派である。分けても日本のビールの小瓶は、唇への当たりが大変柔らかく、ラムネの…

木瓜

ひよどりの訪ひありて木瓜の花 これは昨年の春、実家に帰ったときの句。昨年は暖かかったので春が早く、3月のはじめに木瓜が咲いていた。蜜を吸いに来るのか、花に来る虫をねらっているのか、ヒヨドリがやってくる。そういえばヒヨドリも北海道ではあまり見…

春の空

人は皆変わってしまふ春の空 春はあらゆるものが変わる。生活が変わり、立場も変わり、良くも悪くも変わる季節である。

ハウス

Oh, hisse!声あげ張るハウス 今日はやや風が強かった。近くの農家では早くも水稲育苗用のハウスにビニールを張る作業をしている。船の竜骨のようなハウスの骨の上、風でビニールがふくらんで、船に帆を張っている風情であった。「Oh, hisse」はフランスで水…

桜散る

戻らない人の心や散桜 そろそろ桜も散っている頃であろうか。そういえば、北海道は花より先に緑が来てしまうので、桜が散るときの「無常感」があまりないかもしれない。

春眠

春酔夢しんしんと降る桜花 年度替わりの季節、忙しいような忙しくないような。相変わらず春は眠たい。

コンクリートの林に咲けり霊桜 上野公園は桜満開とのニュース、北海道からみると羨ましい限りである。北海道に来たばかりの頃は、こちらの桜が東京のそれほど感慨がないのは、桜の種類が違うからだと思っていた。北海道の桜はエゾヤマザクラという、やや色が…

空もまた地球の一部風の塔 道南は瀬棚町の風力発電用風車。真下に行くと大きいこと。風を切るうなり音が結構大きく聞こえる。