2010-01-01から1年間の記事一覧

聖夜

透き通るほど冴え冴えと孤独なり loneliness- to be clearly transparent 24日のクリスマスイブは、ほど近いショッピングモールにあるシネコンに、独りで映画を見に行った。夜7時頃には、いつも泊める駐車場は端っこなのに満杯。ご馳走の食材やケーキやプレ…

己を見よ己の貌を見よ終列車 look at yourself look at your face on the window of last train 3週間ほど出張が続き、最後は東京出張。札幌で会議後そのまま千歳から飛んで東京に深夜着、夜の電車の窓に疲れた顔が映った。 写真は綺麗だった銀杏。

満月なればかりかり齧る木の机 the moon is full crunching on the wood desk 仕事が一息ついて、ブログ復活を宣言したのに、ほっとしたとたん風邪で寝込む。ブーブー鼻をかんで咳ごほごほが10日以上続いて、夜落ち着いて何かすることができなかった。風邪引…

旗祭

旗祭 絶え間なく蛾の降る夜の旗祭 粉砂糖のごと百万の蛾のほくそ笑み 重き腹抱えて水銀灯に奔る 蛾の腹のこぼれるほどの卵かな 掌の中で崩れるばかり山繭蛾 石畳に沓音赤い塔に月 手を合わせ掬うかたちのまま苔むす 扉ばかりの廊下 君の声を追う ぽとりとひ…

我の上を過ぎてゆく雲また雲 clouds are passing over my head one after another 秋の空。快晴と真っ暗な空が変わり番こに通過する。 飾らない時田則雄さんの歌はどれも重量級。私の胸にいつもある歌はこの歌。 ジンギスカンの煙のなかで笑つてる笑はぬ奴な…

みかん

秋晴れや一緒にみかん食べないか it is a fine autumn day shall we eat some mandarine oranges? 一緒に〜しませんか?という英語表現はいくつもあって、どのニュアンスがはまるのかよくわからない。コーヒーでもご一緒に=おしゃべりでもしましょう、とい…

蜘蛛

果てしなき天をあおげば蜘蛛の糸 a spider's thread is leading high up to the heaven 今日、職場のデスクに座っていて、顔をふと上げると眼の高さに塵が浮んでいた。よく眼を凝らすと1ミリほどの子蜘蛛である。前面のファイルラックから天井まで、一筋の蜘…

秋分

ふたり居る東の我と西の我 英語訳に苦戦。とりあえず日本語のみ。 週末は、本をむさぼった。湊 かなえの「夜行観覧車」「往復書簡」、ヘニング・マンケルの「五番目の女」上下。 一気読みである。暑くなってからはなかった勢いだった。秋になり日が短くなる…

南極

笑った息も怒った息も凍って空へ the breth with laughing or yelling froze and rose up to the sky 西村淳著「面白南極料理人」を読んだ。映画化されたものを見て、原作も読みたくなったのだ。文字通り抱腹絶倒で、息ができなくなるほど笑い転げた。映画で…

牧水

風に立ち深く息せば月までも deeply breathed inhaling but also the moon in the wind 新書の新刊「ぼく、牧水!」を読んだ。歌人の伊藤一彦さんと俳優の堺雅人さんが若山牧水の魅力を論じた対談集である。とてもよかった。お二人は恩師と教え子という旧知…

たてがみ

たてがみを濡らしてひとり立ちつくす standing alone leaving mane to getting wet in the rain 立秋。暦の上ではなく、季節としての日付。帰宅して家に入った瞬間、「もわっ」から「ひんやり」になった日。ここ数日肌寒くなり、急速に秋めいてきた。 連休に…

掌のなかに腹おもたげな蛾の震え in my hands trembling of a moth with abdomen heavily 2週間ほど前から、クスサンという蛾が大発生している。さしわたし10センチほどもある大きな、赤褐色の蛾である。それが多いときは数十頭も、夜の明かりに集まってくる…

掬う

手を合わせ掬うかたちのまま苔むす joining hands, with keeping the shape for scoop, then covered with moss 河野裕子さんの未入手歌集「母系」が届いた。お母さんを介護し見取りつつ、自身も癌で死を意識する日々の歌が、あまりにも淡々として壮絶である…

熱帯夜

紺と黒と橙の鰭熱帯夜 a navy, black and orange fin at the night of tropical weather RIP SLYMEが好きだ。TVで流れている曲で、お、これいいナと思うとたいていのRIP SLYMEの曲だったりする。ドラマ「ジョーカー」の主題歌もそうだった。メロディがキャッ…

flowers of violet exist only in the oval mirror 菫は咲くまろき鏡の中だけに 「ニューヨーク・アイラブユー」のDVDを見た。 NYを舞台に、何人かの監督による短編を合作したアンサンブルである。ポール・オースターの「ナショナル・ストーリー・プロジェク…

北の盆唄流れて夏はゆきにけり the northern Bon music sounds all around summer has gone 北海道もまだ暑い。だが、お盆過ぎた頃から少し雲が高くなり、秋の気配が感じられるようになった。季節の変わり目で体調を少し崩して、更新も滞ってしまった。少し…

追悼 桜森

散りやまぬをんなの胸の桜森 in the cherry forest on her heart rain of blossoms is never stop 河野裕子さんが亡くなった。突然のことで言葉が見つからない。64歳、あまりに若すぎる。悲しすぎる。 二十歳の頃、やまだ紫の漫画のタイトルになった次の歌か…

夢たゆたう くろがね色の殻の中 a dream is wavering in the iron colored shell 「インセプション」のサウンド・トラックCDを買った。これは素晴らしい。この映画を見たいなと思ったのも、予告編の音楽が印象的だったからだ。重低音の音程には鳥肌が立った…

コガネムシ

殻の中の翅 発条きりきりと wings in the shell tightening the screw 甲虫が飛ぶさまはなかなか迫力があり、すわクマンバチかスズメバチかと思うと大して大きくもないマメコガネだったりする。カブトムシの飛翔など、めったに見ることはないが、まるでハー…

迷宮の合わせ鏡を叩き割る smashing opposite mirrors in the labyrinth 「インセプション」先行上映を見てきた。とてもよかった。私的には五つ星である。 まず、テーマが「夢」という私にとって興味のあるものだった。夢を介して他人の精神に入り込み情報を…

魔女

胸元のそばかす数多夏の魔女 a lot of frackles on her breast −the witch in summer イタリアでは、おおむね接客は日本のように愛想良くはなかった。だが、不親切かというとそうではなくて、対応はそれなりに親切だったりする。慇懃無礼の逆という感じだ。 …

時差

時差の彼方に置いてきた影法師 leaveing my shadow at far away across the time difference 時差ぼけの抜けてゆくのも寂しかり 今日、時差ぼけが抜けた。昨日までは夜2時間ごとに目が覚めて、その度に自分がどこにいるのか一瞬わからなかった。夢うつつの…

薔薇

誰がための薔薇いちりんや伊達翁 for whom a rose that in the hand of a dandy oldman イタリアの街では、顔にドラマが刻まれ、ビデオカメラで追いかければそれだけでミニシアター版映画が一本できそうな人々に出会った。対象が人様なので、不躾にカメラを…

ピサの斜塔

その角を曲がれば時空を超え空へ over the space-time through to the sky it is seen when turning the corner ピサの斜塔へは、ピサ中央駅前からシャトルバスが出ているが、私が行った徒歩ルートもよかった。時間のある昼間なら徒歩もいいと思う。距離的に…

野茨

野茨に掻かれし傷も土産かな bringing back as a souvenir also the wound having been scratched by the wild roses イタリアへ行っていた。一昨日帰還。トスカーナ地方のヴォルテッラという小さな街に滞在した。ちょうど薔薇が満開、よい香りを放っていた…

梅園

梅園 骨音や梅園なれば聞こえけり 梅園に振袖のまま今も居る 口の中に紡錘も時計も蹄鉄も ひとの首腹の蛟が喰いたがる 月を孕む渦巻く腸の奥の奥 部屋に籠りいくつもいくつも虹を産む 音速で逃げても月が追ってくる 壁の中に誰か居たらし春の風 ユモレスク夢…

田植え

田植えは済んだかまあなんとかと聞こえくる我がまちの免許講習会場 今日は短歌で。 作業着のまま来たような農家の方々の、こんな会話が聞こえてくるのは水田地帯ならでは。免許更新講習会場になった町民会館のまわりに生えていた忘れな草。可憐な美しい花だ…

ユモレスク

ユモレスク夢の中にも砂ばかりhumoresque there are only in sand with nothing in my dream 吟遊投稿句。 今日は全道的に暑くなり、今年初の夏日となったところも多かった。先週木曜頃、私的「立夏」だった。それはつまり、夜家に帰ったとき「ひんやり」か…

SATC

地上の光すべての女は靴を探す the city is glittering all of woman are looking for the shoes 週末に「SEX AND THE CITY2」を観た。 ご多分に漏れずはまったクチである。映画前のおさらいと言うわけではないが、DVDをつまみ借りして見かえした。このドラ…

電子書籍

書をめくる銀河の隅に座り居て I turned over the page of a book sitting on the edge of the galaxy 母が少しく食料を送ってくれて、その箱の中に詰め物として入っていた朝日新聞に電子書籍の特集が載っていた。最近話題になっているので私も興味がある。…