我の上を過ぎてゆく雲また雲


clouds are passing
over my head
one after another


  秋の空。快晴と真っ暗な空が変わり番こに通過する。
  飾らない時田則雄さんの歌はどれも重量級。私の胸にいつもある歌はこの歌。


ジンギスカンの煙のなかで笑つてる笑はぬ奴などひとりもゐない    時田則雄


2001年のNHK歌壇掲載の一首。「ひとりもゐない」この断定の下の句が醸し出す重量感はなんだろう。これだけで、ジンギスカンに集まる人々のそれぞれの厳しい日常、そして今この瞬間は忘れて楽しもうという雰囲気が伝わってくる。人々の人生までもが垣間見えるような、圧巻の一首である。