2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

すみれ

この世にもすみれのアリア響きけり 谷川俊太郎の朗読CDを聞いていて、どきっとする詩があった。それは、次のような一節で始まった。 モーツァルトの音楽を信じすぎてはいけない なにかにつけてきみはそう言った 酒に酔って言ったこともあるししらふで言った…

レクイエム

ラクリモサ夏の日ふいに翳りけり 谷川俊太郎の朗読CD付き詩集「モーツァルトを聴く人」を買った。レクイエムのラクリモサ「涙の日々」が収録されていた。この曲を聴くといつも、鳥肌が立つ。

小鳥

麦の穂にたましひほどの小鳥かな 麦畑の、決まったところにいつも小さな小さな小鳥がいる。麦の穂に、ちょんと留まっている。縄張りなのだろうか、いつも同じ当たりである。麦の穂や、茎につかまったり留まったりしている。それでもたわんだり折れたりしない…

ボルボックス

宇宙船ボルボックス号と雲の影 ディヴィット・アッテンボロー氏が解説する野生植物の特集番組がDVDになっている。少しずつ借りて見ているが、とても面白い。オープニングにボルボックスの写真が出てくる。昔理科の授業で顕微鏡観察したのを思い出した。あれ…

バス停

バス停は一里塚のごと野にありて 北海道にいると、いったいここで誰が下りるのかと思うような、広大な畑や野の真ん中にぽつんとバス停があるのに出くわすことがある。そういうのを見ると、熊だの、鷺だのが乗り降りするような、不思議なバスの話を書いてみた…

熱帯魚

大人げなき哀しき我や熱帯魚 大人げない振る舞いをしてしまった後、自己嫌悪に陥ったりするのだが、「我泣き濡れて蟹とたわむる」の心境である。

夏の雲

木陰より望む夏の雲の峰 金曜日はこの夏一番の暑さ。空気も乾燥し、戸外で働いたあとはビールへまっしぐら。写真は昼休みに撮ったニセアカシア越しの積乱雲。夏らしい雲になってきた。

火山

ベロニーテ式火山の森を走り抜け 昭和新山は粘度の高い溶岩が地中よりぐぐっと持ち上がってきたベロニーテ式火山である。どういうわけか、道路も畑もどこもかもにこれ式の火山が林立し、足元からもう一つ煙を吐きながら持ち上がってきそうになるところを走っ…

桑の樹を路傍にみつけ昼の月 桑の木を見つけると「あ、桑だ」と思う。それは、楓だの欅だの榎だの、他の木に対して「あ、楓」「あ、欅」と思ったりするのとは少し違う。心の奥のどこかで「蚕の餌めっけ」とひとりごちる自分の声がするのである。小学生くらい…

アカシア酒

木漏れ日のあかしあ酒の逢瀬かな Wikipediaによると、アカシアの花をホワイトリカーに漬けて花の薫り高い酒を造ることもあるという。やってみたい。間に合えば作ってみよう、できれば、グラッパで。イメージ先行だが、木漏れ日のガーデンで三時頃呑むのが良…

アカシア

あかしあの花降る午後の嬉遊曲 アカシアの花が凄い。山も街道沿いもたわわに実った葡萄のような花の房が満開である。空気もグリーン系の香りで満ちている。なんとなくヨーロッパの庭園の気分。

木イチゴ

飽くるまでボイズンベリー吸ひし夏 昔、近所の雑木林に木イチゴが生えていて、悪ガキ時代はよく食べに行った。野生の果実の中では格段のおいしさで、仄かな渋みと、少し青臭い香りと、すっきりした甘みがこの上なく魅惑的だった。 最近いろいろなベリーが流…

バニラブルー

バニラブルーアイスのブルー夏来る 久しぶりにバニラブルーアイスを食べた。子供の頃からある懐かしの味である。昔、私は小児ぜんそくだったので、発作を起こすと行きつけの小児科に連れて行かれた。そこの女医さんが言うには「アイスクリームなどの冷たいも…

飛行船

飛行船と花粉浮かんでゐる真昼 今日は牧草の花が満開だったようで、くしゃみが日中何回も。昼頃宣伝の飛行船が飛んでいた。仕事中だったので写真は撮れなかったが。

スズメガ

雀蛾を掌に捕まえてをりしばし 夜残業していたら、スズメガが光に引かれて部屋に入ってきた。網戸がないのに暑くて窓を開けていたせいである。羽わたり十センチはあろうかという大きな蛾だ。ばたばたと大きな音を立ててあちらこちらと隙間に迷い込みそうにな…

木の扉閉まる そこは土星と硝子玉 安野光雅と谷川俊太郎のコラボ絵本「あけるな」を手に入れた。最近復刻したらしい。「あけるな」と書かれた扉をあけるとそこには・・・という不思議な絵本。

日曜

晴れの日曜眩しき虚無に呑まれけり ここひと月仕事がとても忙しかったので、週末はどっと来る。何もする気が起きず、寝てばかりいる。

わすれな草

わすれな草の野に思い出せない忘れもの わすれな草が野で満開である。今年は特に勢いがあるようで、車で走っていると花で青くなっている土手などをよく見かける。写真に写したいのだが、小さくて青い花なのでなかなか難しい。

はこべ

あの夏のはこべのあをき香り立ち ハコベは畑地雑草で疎まれる存在だが、私にはいくばくかの思い出がある草だ。昔子供の頃チャボを飼っていて、ハコベをよく餌としてやったのだ。鶏はこれが大好きで、大喜びして食べていたのを思い出す。

眠気

甘ったるい眠気帯びつつ暮れ六つ 体を使う仕事が続いたせいか、夕刻眠くてしょうがない。

陽は高く影は重たくなりにけり 暑くなってきた。今日は足元から熱が来るような一日。こんな日に外で仕事をしていると本当に消耗する。

風の地に立てば砂嵐の楼蘭 今日は風の強い中戸外労働をした。いつも絶え間なく風が吹いている土地であるが、一日中その中にいることはあまりない。仕事から上がってきたら顔が真っ黒。

我が耳は縄文の耳星の波 耳あかの乾湿で縄文系と弥生系がわかるという。私は湿っているから縄文系。酒に強いのも縄文の特徴とのことである。弥生より圧倒的に縄文文化に惹かれるのは血のなせる技か。

さらさらと砂のくづれるおと 月の 今日は耳鳴りがひどい。体調の悪いときはいつもである。

縊られる夢見て覚めし夏の朝 体調がやや不良のせいか夢見も悪かった。手で絞め殺されそうになる夢。爽やかな夏の朝なのに。

夕陽

ある想い空赤くても青くても 今週は天気が良かった。日中の空は抜けるように真っ青。昨年の芒がそのままの姿で残っている向こうに、真っ赤に落ちていく夕陽も綺麗。