2005-01-01から1年間の記事一覧

大晦日

ストーブに灯油継ぎ足し大晦日 いつもよりはゆったりとした年末。灯油のにおいは、いつも暖かい灯を連想させて好ましい。 拙作を見てくださった皆様に感謝、皆様に良い年が訪れますように。来年もよろしくお願いします。

雪ふりつむふりつむほどに胸の澱 風のない日は、雪は何かが沈殿して堆積してゆくように降る。

雪の夜

雪の夜はもの語りせむ茶碗酒 外がビュービューと吹雪いていると、火を囲みたくなる。北海道には囲炉裏がないが、火を囲んで、語らって、暖かいものを食べたりお酒を飲んだり、というシーンにはあこがれる。

吹雪

吹雪夜の鬼女の嘆きや白髪舞ふ 日本列島大雪、北海道も今日は雪であった。夜になり風も強くなっている。

聖夜

静けさや森煌々として聖夜 攻殻機動隊stand alone conplexのサウンドトラックに、Christmas In The Silent Forest という曲がある。シリアスでとても好きな曲だ。夜、雪で真っ白な防風林が続く道を車で走ったときこの曲がちょうどかかり、怖いほどいい感じだ…

誰もゐぬ鏡のなかの森に立ち もうすっかりショートケーキのような雪景色。関東にいた頃は、11月が最も好きな月だったが、北海道に来てからは「晩秋」というしっとりした季節はないにも等しい短さなので、今年は思いの外秋が長くて嬉しかった。

夢一夜

泣き女笑い女の夢一夜 年末が近づくにつれて、過去を振り返るモードになる。過ぎてしまえばあっという間の一年なのだが。

電脳医師

遠隔の電脳医師の所見聞く PCが突然調子が悪くなった。サポートセンターに電話をして、これこれこういう症状なのですが・・・。いろいろなデータがぶっ飛んだかと焦ったが、センターの方の指示通りにしていったら、今のところ直ってしまったようである。それ…

歯科医

西日さす歯科医の椅子の被虐かな 歯を治療した。神経ごと歯の芯を抜いたのである。上顎の歯なので頭をかなり下げた状態で、先生が「さぁて、やるか」と不吉なつぶやきを放つ。削るのは彫金に使うのと同じリューター、芯を抜くのは極微なサイズの尖ったドリル…

アドレナリン

晴天やアドレナリンの凧揚げる 上司と衝突した。私は怒ると仕事が進む。だから悪いことではないのだが。

歯痛

遠き日の片恋ほどの歯痛かな 昔治療した歯の詰め物がとれて、少し痛い。我慢できないほどひどくはないが、忘れていられるほどでもない痛み。十代の頃の片思いってこんなものだったかなー、などと思ったりして。大失恋の痛みに発展しないうちに、歯医者へ行こ…

風景のすべてが白く怖くなり 一変して銀世界、とても冷え込んだため、雪と霜の両方で真っ白な景色となった。おそらくこのまま根雪だろう。

雪は降る鳩の翼は裂かれたり 今年初めてのまとまった冬らしい雪。いつだったか、雪の上に、烏にでも襲われたのか、もぎ取られた鳩の翼がぽとりと落ちていたことがあり、そのときの句。 連想して思い出される句がある。下記の句を初めて見たときの衝撃は今も…

街並

古き街に流れるポルノグラフティ 城下町であった古い街並の商店街に、ポルノグラフティの曲が流れていた。

銀河

銀河に浮かびて宇宙に上も下もなし この数日天気が良く、夜星がきれいである。近くの小高い山の上にほとんど街灯がない天体観測スポットがあり、そこに星を見に行った。びっしりと銀河が見えて圧巻。宇宙に浮かんでいる気分である。

弦月

弦月やガラスの街の上空に 細い細い月が、西の空にかかっていた。低くて赤くて大きい。ちょうど札幌の街の上に浮かんでいるように見えた。

神戸異人館街幻想 参

誰もゐぬ門は閉じたり落ち葉かな 不思議な佇まいの家。どんな人が住んでいるのだろう。

神戸異人館街幻想 弐

路地裏の小闇に風が吸われをり 表はにぎやかな観光街だが、一歩小路に踏み込むとこのような風景が。奥はどこへ続くのか、暗くて見えない。異世界へのトンネルのように思える。

神戸異人館街幻想

驟雨来て目にみえぬ者の宴かな アメリカ館。こうして撮ると「真夜中のサヴァナ」に出てくる怪しい館のよう。

父祖の地

父祖の地や前世来世を繋ぐ糸 ご先祖がかつて住んでいたところを訪れた。ここから私につながっているのは何か。蜘蛛の糸か。細い細い糸をたぐり寄せてここまで来れば、その先はまたどこかへ繋がっている。

木漏れ日

木漏れ日や昔日の夢に微睡みぬ 神戸異人館にて。異人館そのものは多分にテーマパーク化している。これはちょっとした写真マジック。でも異人館街のそこここに味のある古い家や小路があり、人だかりを離れてそういうところを探索するのも一興。

石切の崖に仏面現れし 昔石切場だったという崖があった。法面の凹凸が心なしか人の顔のように見えた。

電車

かたたんたんかたたんたんとゆく電車 姫新線は一両編成で、電車の音も軽い。同じローカル線でも、ディーゼル汽車の北海道とは違う音。ジブリの「千と千尋」に出てくる電車の、あの音である。

姫といふ漢字をキとも読む理由 姫路に行った。姫路から出るローカル線は姫新線と書いて「きしんせん」と読む。姫と書いてキ。き、キ、鬼。「ひめ」の内面に「鬼」が潜んでいるようなうすら寒さである。

霧けぶる山里なりし霧に消ゆ 丹波地方に朝出る霧が、質の良い作物を生むのだと、土地の人は口を揃えて言う。朝霧に霞む笹山に別れを告げた。

穴太衆

古の穴太の衆の鑿の跡 笹山城跡の石垣の石には、職人の仕事の跡がくっきりと残っている。

笹山城跡

野面積み天が落ちれど崩れざる 笹山城跡へ行った。穴太(あのう)衆という石積み職人の積んだ石垣。味のある乱れ積みながら堅固であることは白州正子著「日本のたくみ」に記されている通り。

干し柿

干し柿の里にて遠き家族かな 法事のため丹波に来ている。どの家の軒先にも干し柿が干してある。遠い親戚達と飲んだり食べたり。30年ぶりに訪れた父は少々舞い上がり気味。楽しい。

ナナカマド

裂かれても変わらぬ思慕や七竈 職場の前庭に生えている一本のナナカマド。虫に食われてもいたのだろうか、風の強い日に幹が裂けて折れてしまった。今は一本だけ残った一番下の枝が可憐な赤い実をつけている。

綾取り

狐野で無限のあやとり遊びかな TVのCMで子供があやとりをするシーンが出てきて、ふと、懐かしくなった。そういえば二人で取り合って、延々「川」のままでいるのや、最初の型に戻ってきてループの繰り返しになるパターンもあったっけ。もしかして、昔、原っぱ…