2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧

春の雪

あなたにも遠き別れを春の雪 今日で平成18年度は終わり。先週は送別会もあり、酔って「なごり雪」みたいなセンチメンタルな句を作ってしまった。別れが辛いのはその人との関係が良かった証拠、喜ぶべきことである。が、人との別れを惜しむたび、果たして自分…

ラピスラズリ

Azulの指輪にくすり指喰はれ ネットオークションに天童大人の「エズラ・パウンドの碧い指輪」という詩集が出ていた。未知の詩人だったが、タイトルと装丁に惹かれて購入した。いわゆるジャケ買いである。とても響く内容で、当たりだったと言えよう。特にラピ…

瓦礫の下より少年の蝶舞ひにけり 能登半島地震から一週間が経った。テレビのニュースでの映像。母親と一緒に倒壊した自宅を見に行った少年が、飼っていた蝶を探し、瓦礫の下からそれを見つけた。蝶は少年の手にそっと乗せられ、かすかに羽を動かした。少年が…

桜守

春霞たなびく国の桜守 東京は桜満開とのこと。先週の朝のニュースで、桜守と呼ばれる人のことを紹介していた。京都の老舗造園業、十六代佐野藤右衛門氏のことである。南は沖縄から北は北海道まで、各地の桜を訪ねて歩き、痛んでいるものは治し、滅びそうなも…

素粒子

素粒子の軌道を舞ひし氷姫 フィギアスケートの安藤美姫が絢香の生歌で滑ったのをテレビで観た。金メダルを取ったらしい。美しかった。スピンするところが真上のアングルから撮影されて、氷の上の滑痕が素粒子の衝突軌道を思わせた。

シリウスB

愛憎のゆらぎシリウスBの詩 シリウスBはシリウスの伴星で白色矮星である。白色矮星は星の進化の過程の一状態で、比重と重力が非常に大きく、太陽も50億年ほど経てばこのような星になると言われている。シリウスBはシリウスと同じ質量を持ちながら地球の2…

雪原

春の雪原三匹の犬と農婦かな 雪がどんどん溶けてきている。もうすぐ融雪期。昼、日差しも高くなり、雪解けの水音も楽しげな農道を、農家らしき女性が犬を三頭ほど散歩させていた。真冬には見られなかった光景。

ガニメデ

ガニメデの海にはかつて巨大烏賊 ニュージーランドの漁船が捕獲した巨大なイカがニュージーランド国立博物館により冷凍保存されているらしい。記録史上世界最大とのことで、イカリングを作ったとすると、トラクターのタイヤほどにもなるという(写真http://w…

ロッシュ限界

壊れてもロッシュ限界まで寄らむ 天文学用語を調べたとき、詩的な言葉がたくさんあって、句に使ってみたいと思った。というわけで、少し遊んでみよう。 ロッシュ限界とは、二つの天体が互いの引力によりぶつかり合ってしまわないぎりぎりの距離のことを言う…

木星より

ホルストの「木星」に歌詞を付けたら、声楽を習っている妹が発表会で歌ってくれた。その時点で2番までしかできておらず、少々短すぎるとのことで3番を所望されていたのだが、作ろうと思うとなかなかできなくて、間に合わなかった。このほどようやく納得で…

伝言ゲーム

大陸横断伝言ゲーム繋げたし チンギスハーンの時代には狼煙ネットワークというのがあったらしい。唐突だが、北京〜パリとか、奈良〜ローマとか、そのぐらいのスケールで伝言ゲームをやったらどうなるだろう。国境は両国の言葉を解する人が翻訳して伝えて越え…

シンビジウム

白無垢の蜜秘めやかに蘭たわわ 花写真シリーズ第三弾。実家の母が大切にしている白いシンビジウムである。花弁の付け根に何か蜜のようなものを出す腺がある。

紅梅

残酷な童女紅梅の立ち姿 先月の写真の続き。紅梅は妖しい雰囲気。市松人形のような怖さがある。「地獄少女」という和風ホラーアニメを見たせいだろうか。

ひよどり

ひよどりのスイーツ羨し春の庭 先月の写真から。関東の木瓜ももう散ってしまっただろうか。実家の庭にはよくヒヨドリが蜜を吸うのか蕾でも食べるのか、つつきに訪れていた。見ていて「うまそーだなあ」と思ってしまうほど一心不乱。ケーキにアタックをかける…

耳はふしぎなかたち宇宙想ふ 私は耳があまり良くない。昔から鼻炎気味で耳鼻科にはよく通ったし、父も耳が悪いので、遺伝的体質なのかも知れない。特に二年前に突発性難聴を煩ってからはずっとサーサーとラジオの雑音のような音が絶え間なく聞こえている。気…

カップ

飲みあけてカップの底の鼻の穴 最近お茶に凝っている。特に中国茶が面白く、職場のお茶コーナーにもマイお茶葉やマイティーポットが置いてある。たくさんがぶがぶ飲むので、大きめの磁器のマグカップを買った。底に映る自分の顔は、鼻が大きくて変な顔。笑っ…

メロン

平成元禄四角いメロンもありにけり 愛知県の渥美農業高校が地元の農協とともに四角いメロン「カクメロ」の栽培法特許取得。快挙である。次世代の農業を担う後継者として頑張って欲しい。 四角いメロン、のような奇抜かつユニークなものは、元禄の雰囲気に置…

太陽系

外惑星周遊ツアー楽しからむ 昨日の句のため天文トピックスの歴史を検索していたら、1970年代に活躍した惑星探査機ボイジャーの記事が出ていて、懐かしく読んでしまった。私はまだ小学生くらいだったが、ボイジャーが惑星に接近するたびに新聞に大きな写真記…

超新星

時雨亭の庭にニュートリノ降りしきる 先日、新聞に小柴超新星の話題が載っていた。1987年、銀河の近傍にあるマゼラン星雲にて15万年前に一生を終えて大爆発を起こした星が放出したニュートリノが地球に降り注ぎ、私たちを突き抜けて宇宙へ飛び去って行った。…

カレー

西藏に心飛ばしてカレーめし ネパール風カレーを食べた。カレー飯といってもカレーライスではない。香辛料を炊き込んだ黄色いご飯のこと。とても香ばしい。少し塩気と脂気の強いカレーソースによく合う。

青銅の馬在りし日のアルカディア ストーンマーケットという石の専門店で、クリソコラの馬の彫刻を買った。高さ5cmほどで、他にもあった動物の彫刻の中では飛び抜けて作りがよかった。石の自然な模様が古い青銅のような風合いで、一目惚れして連れて帰って来…

シーツ

纏ひつくシーツ纏ひつく夢振り切れず ホテルのベッドは広かったが、シーツが大きすぎて、寝相の悪い私は気がつくとシーツでぐるぐる巻きになってしまい、とても寝苦しかった。

ささくれ

ささくれを気にしつぬるき一日過ぐ 親指にできたささくれが一日中そこはかとなく気になっていた。

軟骨

軟骨をこりこりと食む桃節句 軟骨が大好き。酒に軟骨つくねがあればご機嫌である。

春よ来い

ひとり酒してラヂヲより聴く春よ来い 出張で札幌に出てきている。ホテルのロビーからのアップ。一人で夕食と軽くビールをしていたら、有線でユーミンの「春よ来い」がかかった。とても好きな歌なのでしみじみ聴いてしまう。

潜水艦

春の街潜水艦に君と乗る 夢の中で、私の街には循環バスならぬ循環潜水艦が運航されている。それに乗り、家へ帰ろうとするところで目が覚めた。

ぼんぼり

ぼんぼりの無数に点り春の夕 ピンクの木瓜も満開だった。木瓜のピンクは少し黄味がかった色合いで、さくらんぼ飴のようで美味しそう。無数に丸いつぼみの付いた枝が雨に濡れてきれいだった。

桃節句

桃節句三人官女はふつか酔ひ 先日関東へ行ったときには、女ばかりで飲んでたいそう楽しかった。花の下のこととて許されよ。

快癒

風邪快癒沈丁花咲き初めてをり 完全復活!風邪が治った時のすがすがしさというか開放感を何と言えばよいか。昨日までは気持ちが悪くて起きあがれず、食事はたべられず、酒を見れば吐き気がし、だったが、再び人生は楽しく、飯は旨く、酒は美味しくなった。口…