背中
破れたる君の背中を縫ひにけり
i was sewing
your broken back
in the dream
少しく体調不良の朝、こんな夢を見た。
春 復帰宣言
唇にドーナッツのシュガー 春来る
sugar powder from donuts
still remain on your lip
spring has come
昨年末からずっと仕事が超多忙で、長らくブログをお休みしてしまったが、少しずつ再開したい。今年はブログ開始から十周年。がんばろう。
短歌バージョンとともに。
唇にドーナッツのシュガーをつけたまましばしそのままそのままでゐよ
ボジョレーヌーヴォー
生真面目なでも荒削りなるビオディナミボジョレーヌーヴォー君のごとしも
ここ一月非常に忙しく、なかなかアウトプット出来ないでいる。句の切れ端が溜まる一方である。ボジョレー解禁日飲み会の歌も、今日になってようやく落ちてきた。
ボジョレーはかつてほどのお祭り騒ぎはなく、下火気味とのことである。いろいろ要因はあると思うが、最近のボジョレーはちょっと美味しくなりすぎの気がして、それも一因ではと思う。ヌーヴォーの魅力はフレッシュさと、伸びしろを感じさせる荒削りさ。美味しすぎるヌーヴォーは安旨ワインと変わらなくてつまらない。「まずいヌーヴォーが飲みたいんですよね〜」と言ったときの酒屋の主人の困惑顔を思うと、このようなことを言う客は少ないのかも知れないが。
ビオディナミは、有機農法栽培葡萄のワインのこと。
フーガ
フーガを奏でる手の筋を張りたる弓で
she played fuga on the violin
with a bow
strunged tendon of finger
昨晩、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」が、ヴァイオリニストの五嶋みどりさんの特集だったので見た。素晴らしかった。
五嶋みどりがヴァイオリンを弾くとき、「楽器と一体になって奏でる」といういささか陳腐な表現が、そのままの姿で現れる。それはヴァイオリンという楽器ではなく、奏者と楽器が一つになった、何か別の存在のようである。その姿と音はこの世ならぬものに見え、魂を揺さぶるように美しい。神々しいとはこういうことを言うのか、と思った。
句の方は、私の腱鞘炎が種である。左手手首が数日前から晴れて痛みがあり、何か弦のようなものが張られているような違和感がある。TV特集のおかげで句に落ちた。
朧
君の中でかたちを結びゆく朧
something hazy
become clear
inside you
君の中に朧なるもの播種したり我が言葉にて育てゆくなり
今日は短歌バージョンと。
何というか、怖い歌になってしまったものだ。句の種は決して、こんな怖いきっかけではなく、ごくごくカジュアルで日常的な小さな「感慨」がモチーフだったのだが。
月蝕
君の背で月が喰はれて消えにけり
the full moon
was eaten in the sky
behind your shoulder
超多忙の数週間がやっと落ち着いた。今日は皆既月食だった。雲から出たり入ったりだったが、欠けてゆくところと、ちょうど皆既の時に見ることが出来た。
以前とても美しい皆既月食を見たのはもう7年も前のことなのか。
http://d.hatena.ne.jp/alzira/20070828