2006-01-01から1ヶ月間の記事一覧
消ぬるほどの細さの月や凍花 今日は三日月、雲一つなく冷え切った西明かりの空に、切れそうな細さの月が浮いていた。いつもより細い、針のように細い。
背中から翼が生える樹が生える こんな夢を見るのは肩こりのせいだろうか。
ここにもひとつ小さき者の宇宙あり 温室の隅にゼニゴケが生えていた。不思議な形をしている。レオ・レオーニの「平行植物」のよう。
幾星霜我らのゐない明け暮れや 人類が絶滅した後の、何万年も後の地球に繁栄するであろう生き物についての本を読んだ。人類もいつかは滅亡するであろうが、生物は地球が火の玉になっても氷の玉になってもどこかで生き延び、進化していくものらしい。
星露を集めて旨し光酒 こちらのグラッパはすっきり系で蒸留しただけという感じの素朴な味わい。屈折率が違うのか、ライトの光が反射してとても綺麗だった。
口中に紫の蝶羽ばたけり 樽に程よく保管したグラッパを味わった。バーボンのような樽の華やかなかをり。
うなされて目覚む鳥になってしまふ夢 変な夢を時々見る。鳥になってしまい、にもかかわらず飛べそうで飛べなくて地面すれすれを飛ぶ夢だった。
惑星の昼更けゆきて無音なり 今日は雪が治まったようである。朝から良く晴れた。空は真っ青、下界は真っ白。こういう日は空が広く感じ、地球が一つの惑星であることを体感する。
吹き止まぬ夜や雪女の障りかな ここ数日大雪。昨日は職場から帰れなくなるのではと心配になるくらいだった。昨晩は吹き荒れっぱなし。北海道に住んで十年以上になるが、こんなのは初めてである。それにしてもここのところ、雪の句が多いなあ。
寒ければなおひとしおの暖かさ これも件のバーベキューハウスの暖炉。薪の暖炉やストーブは火力が強く、汗が出てくるほどである。
人ならば金婚のふたり羨しかり 30年ほど経っている古いバーベキューハウスのトイレの扉。よくある記号なのに、ほどよく古びてなんとなく仲が良さそうに見える。
一滴の水に不可説不可説転 昨日の句に使った「無量大数」について調べていたら、「無量大数」より遙かに巨大な数を表す言葉があることがわかった。それが「不可説不可説転」。無量大数が10の68乗であるのに対し、不可説不可説転は10の3721838388197764444130…
雪の精無量大数降臨す やはり雪が多い。例年より明らかに多い。「無量大数」は千、万、億といった数を表す単位の、遙か遙かに大きな数を表す単位。
冷えびえと宇宙の果ても澄み渡り 大雪が一段落し、今夜は晴れている。晴れた夜はひたすら冷えて、どこまでも透き通って見える。夏の夜の、深呼吸したくなるような開放感とは違い、ただただ冷たい透明感だけが感じられる。
ひたぶるに雪降りおえてしんとせり 帰ってきたらかなり積もっていた。道路の両側には高い雪の山。降り終わった後はしーんとして本当に静かである。
雪ひとひらがひとひらである不思議 日本海側はひどい大雪、北海道も大雪警戒の模様である。今出張で南に来ているが、帰ったらさぞ積もっているんだろうなと思うと憂鬱。どんなに大雪でもやっぱり雪は塊でなくひとひらで降ってくる。当たり前だが、時々ふと不…
新年やいつもと変わらぬ夜明けかな 正月といっても、ここ数年は特別なことをしていない。何も変わらない明け暮れである。それが、何より有難いと思う。