2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

セーター

をぢ色のせえたあ好もし上司の背 職場の熟年職員が着ている渋い色のセーターは、一般的にはオジサンくさい、ダサイという印象であろうが、その方のよき家庭人としての側面を表しているようで、好ましく感じる。

春の月

朧なりビルの谷間の赤い月 雪解けで水蒸気が立ち上るのか、霞がちの夜である。水のにおいがすると、春を実感する。

送別会

翁舞ひ花三人が歌ふ春 送別会シーズン、カラオケスナックは送別会の2次会で満員である。隣のグループでは、若い女性3名がキャンディーズを歌い、上司らしき年配の男性がホールで踊っていた。

もう曲がることのない角ありて春 生活が変わり、かつて頻繁に通ったものであるのに、今は全く通らなくなった道がある。同じ街にありながら、一度も通ったことがない数多くの道と同じになる。

魂の渇き癒せぬままに春 もう来週から4月、まだ雪がちらつく日がないではないが、圧倒的に春が優勢になってきた。しかしながら、春はいつでも一番憂鬱な季節。

銀河鉄道

我独り各駅停車の銀河行 先月の短い各駅停車旅行を思い出した。銀河鉄道は、やっぱり各駅停車が似合うような気がするのは、銀河鉄道の夜と、銀河鉄道999で育っているからだろうか。

星の雫

月面に星の雫の蒸留所 煌々として明るい月を、酒の肴にしたくなる。月面で製造されるのは、星屑の滓取り焼酎、だろうか。

桜紙

誰に書くあてもなけれど桜紙 北海道の桜のシーズンはまだまだ先だが、4月を前にして文房具売り場には桜の便せんや封筒が並ぶようになった。別に誰に書くというわけでもないのだが、とても美しい便せんなのでつい買ってしまう。

雪解け

呪いが解ける如く崩れて春来る あんなに積もっていた雪が、凄い勢いで解けている。道路標識も頭まで埋まるほど積もっていたのに、もう膝ほどの高さしかない。映画で呪いや魔法が解けるシーンのよう。

春雪

一睡のうちのひと雪眩しかり 深夜から明け方にかけて、眠っているうちに結構降ったらしい。朝はすでに日が照っていた。

ひとひらの葉たましひ程の重さかな 駐車場のアイスバーンをよく見ると、落ち葉が1cmほど氷にめり込んでいる。沈んでいるのではなく、めり込んでいるところを見ると、そのわずかな重みでわずかな氷が溶けては沈下し、溶けては沈下したものであろう。測った…

融雪剤

雪原に一筆書きの前衛書 この季節になると畑に融雪剤が散布される。炭の粉で、太陽熱の吸収をよくし、雪解けを早めるしくみである。時には古代文字か前衛書のようにアートな散布痕が描かれていることもある。

街の灯や秘めればこその想ひかな なにかのCMに「仄かな想いは胸の中に」というのがあったっけ。ちょっとしたほろ苦い気持ちを「楽しむ」ことができてしまうのも、歳を取った証拠なのかなぁ。

蟲の吐く糸で織られた服を着て 春なので、山繭の手織り布の服を出してきて着た。ざっくりした感触が繭のようで、虫の吐いた糸で作ってあるんだな、と思う。

翡翠

春の日や翡翠の翠も萌え始む 今や私の指の一部と化している翡翠の指輪。光線の種類も変わってきたのか、緑色が濃くなってきたような気がする。

春の朝

いくつもの怒りはあれど春の朝 仕事でいやなことが続いているが、朝の日差しが日々眩しくなり、なんとかリセットしつつ過ごしている。

幾春別

幾度の春の別れや花踏みて 幾春別(いくしゅんべつ)という地名がある。北海道の地名はアイヌ語の発音に当て字で漢字を当てたもので、元来の意味と漢字の意味はおおかた関係がないが、時により非常に詩的な当て字があって、命名者のセンスに感嘆することがあ…

雪解け弐

雪解けやキンと歯に凍むうがひ水 この季節、川に雪解け水が流れ込むので、水道の水が真冬より冷たくなる。