散梅や今しばし払はずにゐよ 先日仕事で行った関東は梅のまさに盛りで、室内に生けてあった梅が散り始めていた。散っているところもまたよし、そのまま少し掃除せず飾っていてもらいたい。

おみやげに月でもひとつ星売り場 先週行った大きな文房具店の地球儀売り場。新年度前に向けての特設だろう、地球儀だけでなく天球儀や月球儀なども。これだけ並んでいると壮観。

津波来て五匹の鮫とおにごつこ 都会へ出て風邪をもらってきたらしい。くしゃみが止まらず、頭が重い。おかげで変な夢を見た。

茶の遺伝子ヒトの遺伝子あはされば茶道 茶の味も香りも茶という植物の遺伝子の賜。ヒトはその成分を好ましいと感じる遺伝子を持っている。

瓜にも瓜の苦 うどんこ病といふ病 作物の改良には病気に強いかどうか、というファクターが大きく占めている。メロンなどのウリ科作物には、うどんこ病が最も脅威という。

春の日や桃の遺伝子も桃の色 桃の花粉を調べる仕事のひとの春 果物の中で桃がいっとう好きである。桃の研究もなんとなく雅やかなイメージを持ってしまう。

泳ぎだす天神御所の連鎖地図 仕事で、遺伝子レベルの解析を作物の品種改良に利用する技術（遺伝子組み換えではない。遺伝子診断と同じ原理の技術）の成果発表に触れる機会があった。なかなか高度な内容で、ついていけない部分もあったが、果樹のような樹木の…

告げざれば我のもの哉夢のひと 普段意識していないような人を夢に見てしまうと、深層心理では意識しているのでは？と思ってどぎまぎしてしまう。 これは次の短歌を本家取りさせていただいた。とてもロマンティックで素敵な歌だ。 月に立つ君のそびらのひとつ…

くすり指疼きはじめて春隣 天候は未だ冬、放射冷却で冷える晴天の夜は暖冬気味だった１月よりむしろ寒いくらいだが、日差しはあきらかに強くなってきている。

落ち込むことありて廊下にななめの影 仕事上でちょっとしたへまをやった。すれ違いと思いこみが生んだことである。落ち込む。仕事していればこういう事もあるさ、と思ってはみるのだが。

ほろ苦きおもひでおもふしょくらあと ずっと昔に作った自作の短歌を、自分本家取りしてみた。 今日は同僚に義理チョコを配り、自分チョコには明治ミルクチョコレートを買った。私はこれが大好きで、高級なショコラは数多あれど、これが一番美味しいと思う。 …

君と吹く地獄の湯気やしょくらとを バレンタインデーも季語なのだろうか。 検索によれば、チョコレートが日本に入ってきたばかりの頃、ちょくらあと、しょくらあと、しょくらとを、貯古齢糖、千代古齢糖、猪口令糖などと呼ばれたとある。しょくらあと、が一…

びいだまを吐くひとり言ぽろぽろり 独り暮らしのせいか、最近独り言が多いような気がする。

街の灯や「すし」といふ字のやはらかさ 運転中信号待ちで停車している時、回転寿司の店先に白地に「すし」とだけ筆字で書かれた幟が目についた。「す」と「し」、縦長ですっきりとしたひらがな二つの幟はなかなかよい。

月おぼろ空みづなればみづの底 今日は日中暖かく、夜冷え込んだ。こんな日は川霧が濃く、空気中は凍りかけの水蒸気に満ちている。月もやや滲んでいた。

カルナヴァル未だ鳥にはなれずをり カーニヴァルのシーズンだ。有名なのはブラジルのそれ。春を前にして無礼講のような祭が起源とのこと。街が仮面で溢れるヴェネツィアの神秘的なカーニヴァルも一度見てみたい。

我の背で貝殻骨は奏でだす デスクワークで一日中コンピューターの前に座っていると、頸も背中も凝ってめりめりと軋んでくる。

呼吸する我高気圧のただ中に 昨日が低気圧だったので、今日は高気圧で。まだ２月上旬というのにもう雪が緩く溶け始めている。雪祭りは大丈夫だろうか。

低気圧来るうぶ毛のさわめけり 最近新しい腕時計を買った。高校入学のお祝いに両親にもらった腕時計をずっと使っており、実に二十数年ぶりである。suuntoというフィンランドのコンパスメーカーのデジタル時計で、デザイン機能性ともに気に入っている。特に気…

惑星公転バオバブの花美しき ＮＨＫのプラネットアースでマダガスカルのバオバブの花を紹介していた。夜に咲く、蘂の長い百合のような美しい花であった。マダガスカルのバオバブストリートは異星のような光景。いつか見に行ってみたいものである。

吹きすさぶ百頭鬼の虎落笛 手塚ファンとしては観ておかねば、ということで「どろろ」を観てきた。不完全に生まれついたものが、自らのアイデンティティーを求めてもがいていく、という多くの手塚作品に共通するテーマである。原作ではかなり男臭いキャラクタ…

冬月をコンとたたけば芯とろり 久しぶりに晴れた夜空。キンキンに氷った空気に今日は満月である。

蝸牛管の奥に仕舞はれし記憶かな 今日は少し耳鳴りの日。突発性難聴による耳鳴りや難聴も、悪いことばかりではない。耳鳴りに慣れてしまったせいだろうか、いろいろな機械のブーンといううなり音もあまり気に触らなくなったのだ。