2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ラフレシヤの花芯の緋や緑の闇 変な夢を見た。ルソーの絵のような熱帯の植物が繁茂するなかを歩く。動物のように動く植物ばかりである。

通過列車

瓜ふたつの貌連れ去つてゆく列車 列車の窓に自分の顔が映るのは妙な感じだ。車内に自分がもう一人いるような、少々不気味な感じがする。

忘れる

忘れるといふことの恵み夏の雨 もうすっかり風や雨の匂いが夏である。肌寒く、雨がちで不安定な天気ではあるが、季節は確実に変化している。

silencio

silencio- 街の裂け目に叫び ペドロ・アズナールといえば、日本では元パット・メセニー・グループ(PMG)の一員としての方がよく知られているだろう。かくいう私も初めてその歌声を聴いたのはPMGのアルバム「ファースト・サークル」においてであった。しかし…

恋歌

この週末もありふれた恋歌を聴き すっごいベタなラブコメなのに、どうしてこんなに惹かれるんだろう。ヒュー・グラントとドリュー・バリモア主演の映画「ラブソングができるまで」のことである。 ヒュー・グラントが演じるのは、かつて80年代にブレイクし…

大河

大河の一滴阿僧祇の文字の十七字 私は今、本の大河に溺れそうになっている。 インターネット書店Amazonを活用するようになって数年になるが、つくづく凄いシステムが出来たものだと思う。まず、本の探し方がリアル書店と全く違う。ある本をチェックすると、…

函のなか螺旋の夢をみる鸚鵡 ジョセフ・コーネルの箱は視覚化した俳句である。コーネルはアマゾンのブック・サーフィンの道すがら見つけたシュールレアリズムの芸術家。もっとこの人のことを知りたい。

暴風

破壊と再生風塵に種まき ものすごい強風。この風の中で今日は一日畑で種蒔き作業をした。目を開けるどころか、立っていられないほどの暴風と、ざらざらと音を立てて全身に降り注ぐ土埃。一瞬、文明から遠くはなれた大地の懐で、厳しい自然と闘っているような…

2進数の森に花の指を持つ少女 行きつけの店のレジに、とても美しい手をしている女の子がいる。ほっそりと長く、先に向かってやや尖り気味の繊細な形の指。そして他に水仕事のバイトでも掛け持っているのか、それとも若く見えるけど実は主婦なのか、いつも指…

倍数

3の倍数無限宇宙に充ち満ちる 3の倍数がどうのといっている芸人が気になっている。何故倍数?そして何故それがウケるのか? ところで、「科学を短歌によむ」という本をアマゾンで入手。私はカテゴリー的には理系のため、タイトルから気になって購入した。…

野男

野男に惚れた記憶も花の中 時田則雄氏は私が最も尊敬する歌人の一人である。この季節になるといつも読みたくなり、今日は「野男伝」を手に取ってみた。何かに迷ったり、自信をなくしたりしたときに、私はいつもこの人の歌集をひもとく。十勝で農業を営む氏の…

無限

すれ違ふ昇る無限と降る無限 今週前半は種蒔きとその準備のため忙しく、帰るとバタンQ。今日は雨のため少し余裕が出た。 エッシャーの不可能な絵は、自己相似図形的目眩を覚える。

ピカソの青シャガールの青春の寒 寒い。今日は最低気温−4℃の予報。一度しまったセラミックファンヒーターを引っ張り出してきて着ける。三月上旬の気温である。

落日

落日や胎児を孕み西に落つ 日が長く、夕陽が目に付く季節になった。真っ赤な夕陽と包み込むような雲が、科学写真で見た母体と胎児の写真のよう。

万華鏡

万華鏡のなかに君の指の骨 世界俳句協会の酒の席で、英語訳に耐える短歌とはという話題の中で、寺山修司や塚本邦雄などの短歌はどれほどが英語訳され、世界に紹介されているのだろうか、という話になった。その時はそれで終わりだったのだが、帰りがけに八重…

東から夜明けのごとき雨あがり このゴールデンウィークのお天気は今ひとつだった。天気が良ければ野幌森林公園でも行こうかと思っていたのだが。今日も晴れたり降ったり。夜になって風も出て風雨である。明日からの仕事のモチベーション的には最悪のお天気。

報われぬ愛も良きかな桜咲く 今年の桜や足早で、例年より一週間くらい早い感じである。昨日今日は強風、桜もあまり持たなかったよう。天気にも振られ通し、満開の樹をろくに見ないうちに、風が運んでくる花びらだけが桜の季節を感じさせた。写真は昨年のもの…

群肝

群肝に鱗生やせり十三夜 吟遊投句。今回はこれでラスト。黒々とした感情を抱えている時のもの。

蛍食む我が群肝のあをびかり 吟遊投句。世界俳句協会の懇親会でも話題に上ったが、北海道は今ホタルイカの旬である。ホタルイカは大きさ5センチあるかないかの小さな烏賊で、酢みそあえなどで食し、大変美味である。近くのスーパーでも売っており、夜になる…

貝鮹皇女

貝鮹といふ皇女ゐて春の風 吟遊投句。原句では「貝鮹といふ皇女ゐて春隣」として、「春隣では老人の懐古趣味俳句」と夏石先生に酷評を受けたもの。ご指摘の通り、今回のは至って安直に使った「春隣」であった。 少なくとも、以前春隣を使った「くすり指疼き…