野男

alzira2008-05-15

野男に惚れた記憶も花の中


  時田則雄氏は私が最も尊敬する歌人の一人である。この季節になるといつも読みたくなり、今日は「野男伝」を手に取ってみた。何かに迷ったり、自信をなくしたりしたときに、私はいつもこの人の歌集をひもとく。十勝で農業を営む氏の詩は、土を踏みしめる足と作業機を動かす手から生まれ、飾りのない、揺るぎない言葉に満ちている。


『OBIHIRO・BEPPU・1・SITE』より聞こえくる縄文びとの焚火の音が
十勝(トカップ)の土に還る日いづれ来るなれど変はらぬ空の続くは嬉し
地吹雪を裂きてぞ眠る墓石の中の一族 なぜ北へ来た    時田則雄「野男伝」