万華鏡
万華鏡のなかに君の指の骨
世界俳句協会の酒の席で、英語訳に耐える短歌とはという話題の中で、寺山修司や塚本邦雄などの短歌はどれほどが英語訳され、世界に紹介されているのだろうか、という話になった。その時はそれで終わりだったのだが、帰りがけに八重洲ブックセンターに寄ると、詩歌のコーナーに対訳寺山修司短歌集「万華鏡 KALEIDOSCOPE」が平積みしてあり、タイミングの良さに思わず購入。こういうところが、同じ東京駅前のオアゾより品揃えが渋いと思う。
本書の英訳は鵜沢梢、アメリア・フィールデンによる。以下に二つほど紹介して見ると、原歌ではあまりに直球の青春詠で、そこはかとない気恥ずかしさを感じるのだが、英語訳にするとさらっと収まりが良いような気がする。恋愛映画の愛の台詞を日本語にすると滅茶苦茶照れくさくなるのと同じ効果ということか。
草の笛吹くを切なく聞きており告白以前の愛とは何ぞ
listening sadly to
the tune she plays
on a reed-
what is love before it is declared
遠い空に何かを忘れて来しわれが雲雀の卵地にみつめをり
in the distant sky
somthing forgotten-
I gazed at skylark eggs
on the ground