すみれ

alzira2007-06-29

この世にもすみれのアリア響きけり


  谷川俊太郎の朗読CDを聞いていて、どきっとする詩があった。それは、次のような一節で始まった。


モーツァルトの音楽を信じすぎてはいけない
なにかにつけてきみはそう言った
酒に酔って言ったこともあるししらふで言ったこともある
だがぼくにはその意味が分からなかった
ついこの間まで


  「つまりきみは」という題である。天国には死ななければ行けないのに、天上の音楽をこの世で聴いている、そのことに後ろめたさのような何かを感じている、というように読める内容の詩であった。