図書室

書庫深く蚯蚓の図譜は潜みをり
カタコンベの静けさ湛え昏き書架
産毛立つ裁断機には近寄らぬ
秋草は西日に揺れて花図鑑
背表紙の明朝体や金枝編
ぱたんと閉じる記憶の蝶がひらひらと


  吟遊第36号投句作。今回はテーマ「図書室」で統一してみた。一句目は以前ブログ上で発表したもの。
  夏石先生の評価は今ひとつとのことだった。確かに何となく、投句のために、特に下半分の句は、作ったという感じは否めない。ここのところスランプかなあ、という気もする。
  それでも、カタコンベの句はわりと気に入っている。「産毛立つ裁断機には近寄らぬ」は、投句・掲載は「近寄らず」だったが、活字になったのを眺めると、「近寄らぬ」の方がいいような気がした。


人影やセピアの紙綴れ香る


  は落選した。やっぱり少々意味不明だったか。もうちょっと表現を考えよう。