山百合

山百合の咲き狂ひたる焼け野原


  昨日の句を書いていて、思い出した話がある。森の下草の中にひっそりと咲く小さい百合の花。それが、山火事などで森が焼けたとき、どういう力が働くのか、焼け跡に大群落となって咲き乱れるのだという。その光景を想像すると、普段は楚々として慎ましやかに振る舞う女性が、何かの危機に直面して本性を剥き出しにする様のようで、思わずぞっとした。