さくらんぼ

桜ん坊たわわ友人知人の子のような


  さくらんぼのあの可愛いさは、ずるいと思う。まるで少女の持ち物の柄にするために生まれたような姿をしている。同じカワイイ系の苺でも、さくらんぼには一歩譲らざるを得ない。私たちがさくらんぼを食べるとき、味なんかもうどうでもよく、主としてあの可愛らしさを食しているのである。
  ところで、この句をつくってしばらく後で、次の句を知って、頭をかきむしりながら「やられたぁぁぁ」と叫んでしまった。

桃の木や童子童女が鈴なりに   中村苑子