バッハ

神のみが聴き手のアリア響きをり


  久しぶりにジャック・ルーシェのプレイ・バッハを聴いた。いつ聴いてもルーシェのバッハはいい。特に管弦楽組曲など、原曲だと宮廷音楽的でややケバくも感じる曲が、ピアノによるジャズ化した演奏ではクールでストイックで、よりバッハらしくさえ感じる。バッハは宗教曲においては人間が聴くことを想定せず、神を唯一の聴き手として作曲したと本で読んだことがある。そんなバッハにはクールな演奏がよく似合うのである。