アカシア

あかしあの谷に懸かりし魔法陣


  仕事で十勝に行った。移動の車窓から見える夕張の山の中に、何本ものアカシアが満開に咲いている谷があった。アカシアはとても強い香りを放つ樹である。あれだけの本数が空気の淀む谷間に咲き乱れていると、さぞかしむせかえるような香りであろう。香煙で張られた結界のように。