一周年

 今日でこのブログを始めてちょうど一年経った。この機会に自薦をしてみようと思い、まず全部の一覧を作った。こうしてみると、作る側の評価と読む人の評価は本当に違うなあと思う。我ながら名句!と思っても「よくわかんない」と言われたり、自分では「何の工夫もないまんまの句だなあ」と思っていたのが「これいいねえ」と褒められたり・・・。
 今日はとりあえず2005年の分を選んでみた。

2005 夏
刈り倒す向日葵の香のあを  うまし
ふふふいちごのドロップ含んだままキス
鬼蜘蛛の軒先借りて雨宿り
虹七幅天の牧場を駆けりたし
ふるさとの名前変われど梅かりり
群に居づらし黄色い林檎が好きなこと
醜くて甘い洋梨がいとおしい

2005 秋
頭蓋骨のなかの鈴虫りりりりり
満月を杯に浮かべてひと呑みに
百億の相関ありて静寂なり
麦萌えてシャルトリューズの栓を抜く
届かない恋ほど高し茜雲
葡萄酒を傾け時空を遮断せり
雲ひとつない空別れを切り出さむ
木犀やドラマに詳しくなりし父
君の名を思ひ出せずに夢醒める

2005冬
あまぐもの往来忙しくなりて冬
つたぷたぷつつたぷたぷと油揺る
狐野で無限のあやとり遊びかな
裂かれても変わらぬ思慕や七竈
路地裏の小闇に風が吸われをり
風景のすべてが白く怖くなり
静けさや森煌々として聖夜
雪ふりつむふりつむほどに胸の澱
ストーブに灯油継ぎ足し大晦日