薬指の標本

薬指の先噛み切れば水のをと


  小川洋子さん原作のフランス映画「薬指の標本」を見てきた。小川洋子さんの文学がとても好きで、この本もだいぶ前に読んだ。どこか夢の中のような現実感のないストーリーを、どのように映像にするのだろうと思っていたが、原作の雰囲気を壊さないことに非常に心を砕いた作品だった。ディテイルのひとつひとつは絵のようで、フェティシズム漂う描写は品を失わないスレスレのところで危うい美しさを醸し出していた。