緋無数十四干首長刃蟲


  アスパラガスの害虫に、「ジュウシホシクビナガハムシ」というのがいる。テントウムシの細長いのみたいな虫で、オレンジ色に黒の水玉模様という、どちらかといえばラブリーな外見をしている。虫の名前を分解すると、ジュウシホシ・クビナガ・ハムシすなわち十四星・首長・羽虫となる。しかし、日頃俳句なぞやって五七五のリズムが刷り込まれていると、ジュウシ・ホシクビ・ナガハムシに聞こえ、するととたんに、斬首の血しぶきが虫に化身したような、なにやら横溝正史的怪しさが立ちのぼってくるのである。