夏の日の潰れた苺香りけり


  頂き物の苺のうち、硬くて青かったいくつかを持ち帰ったのを忘れていて、気がついたらかばんの中で潰れていた。甘酸っぱい苺のにおいと、腐敗臭がそこはかとなく混じったにおいがかばんについて、読んでいた本にも染み付いた。本のタイトルは「シュガータイム」小川洋子著。腐りかけの苺のにおいとともに読むなど、とても小川洋子らしいシチュエーションになった。