指先

指先を欠きたれば流れ出すこころ


  料理中に、ひとさし指先を削ぐように切ってしまった。かなり血が出て、痛かった。今もキーボードを打つたび痛い。小川洋子の「薬指の標本」で、主人公が勤務先のソーダ水工場でガラスで薬指の指先を削いでしまうシーンが出てくる。淡々とした描写なのだが、さぞかし痛かったに違いない。ソーダの瓶の一二本は血で真っ赤になったはずだ(映画では実際にそうなるのだが)。