吟遊投句

無花果の座標を目指せど迷ふ秋野
ちちふさに絶対零度の影と空ろ
ちちふさを揺すればカラカラ月の石
双魚宮を躍ぶコペルニクスの頭蓋骨
きりもみに疲れた矢印散つてゐる


  吟遊41号の俳句ギャラリーに投句し、上の5句が掲載された。今回はお疲れモード&煮詰まった頭から絞り出した感がある。昨年11月からずっと走りっぱなしだったのが、ようやく一段落。束の間でよいから間抜け殻になりたい気分。2、3句目以外はブログ既発表。
  今回の吟遊には、夏石先生の書き下ろしがどっさり載っていて、読み応え充分であった。昨年の秋バルト三国訪問からの句と思われる。リガは、愛読するヘニング・マンケルの小説にも登場した地名でもあり、重厚な印象が立ちのぼってくる。以下に、私が特に好きな3句を紹介する。


雨のリーガの密室叫びは星雲となる
雲の翼がたちまち重なるバルト海
母音ばかりの歌が生まれる樅の森   夏石番矢「石の哲学」