alzira2009-06-23

うたた寝て蛭の餌となり水の音


during a doze,
I became leech's food
the sound of water


  さしわたし7センチくらいもあり、コメツキムシのようにピンピンとび跳ねる蛭の夢を見た。それを見て、夢の中で詠んだ句。珍しく目覚めた後も覚えていた。ピンピンの蛭がよほど印象に残ったのだろう。
  この週末は面白い本とコミックとDVDに恵まれて、インプットに時間をとられて俳句のアウトプットが滞った。読んだ本、みた映画を以下に記す。どれもお勧め。


「数学で犯罪を解決する」キース・デブリン&ゲーリー・ローデン著
  先日書いたドラマ「ナンバーズ」のアドバイザーを務める著者による解説書。立派なハードカバーだが、一日で一気読み。ドラマのストーリーから解説する章もあるし、現実の事件から紹介される章もある。単なるドラマ解説本ではなく、「数学が如何に犯罪捜査を始め社会に取り入れられているか」という内容だが、数学に全く明るくない私でも概念は理解できて、捜査機関のスタッフルームにいる気分になれて楽しめた。
「GENTE〜リストランテの人々」1〜3 オノ・ナツメ
  イタリアのあるリストランテスタッフの人間模様を描いた話題のコミック。アニメ化もされているらしいが、私としてはこれを原作に本当にイタリアで実写映画化して欲しい。ウォン・カーファイ監督が作るオムニバス形式なんてどうだろう。とても味のある大人のホロニガ系映画になるに違いない。次に紹介のコミックとともに漫画の国日本に生まれた幸せを味わえる。
「アンダー・ザ・ローズ」1〜6 船戸明里
  ヴィクトリアン朝のイギリスを舞台に、三人の女性と子供を設けたロウランド伯爵を中心に、家族とは何か、愛とは何かという普遍的なテーマがひたすら繰り広げられる。イギリスやフランス、ロシアの文豪が書いていても不思議ではないような、重厚でときに狂気もはらんだ物語。
宮廷画家ゴヤは見たミロス・フォアマン監督 ハビエル・バルデムナタリー・ポートマン主演
  久々のフォアマン監督作品。私的には「ラリー・フリント」以来だからもう十年ぶりといういことになる。「ラリー・フリント」は非常に肩に力の入った作品だったが、今回のは適度にこなれた感じでよかった。豚肉が嫌いだったから豚肉を食べなかったというだけの理由で異端審問にかけられ、長い過酷な牢屋暮らしを強いられた可憐な少女イネスと、僧ロレンソの数奇なドラマが、観察者であり狂言回しである画家ゴヤにより語られる。そのゴヤが堀田義衛のノンフィクションで紹介されるよりやや善人過ぎるのが気にならなくもないが、昨日の権力者が今日の囚人、そして明日は再び権力者、それをそのつど囃し立てる民衆、という目まぐるしい歴史の移り変わりを描くには、ゴヤまで複雑になってしまっては収集が付かなかったのかもしれない。ナタリー・ポートマン演じるイネスがどんどん無垢になり、エンディングには泣かされた。