alzira2009-08-18

鳥、魚、ときどきヒトのかたちをとる


a bird, a fish
sometimes takes a form
of human body


  昨日はブログ書きかけで眠ってしまったようだ。
  「イントゥ・ザ・ワイルド」の主役クリス・マッカンドレス役にエミール・ハーシュをキャスティングしたショーン・ペンの眼力に感嘆する。
   原作を読むと、クリスには不思議なほど人を惹きつける魅力があったようで、関わった時間は短くても人々の記憶に残り、愛された。誰もが、留まって欲しい、友人に、恋人に、息子になって欲しいと願い、身の上を心配し、別れるときには便りをくれと言う。
  そんなクリス役に、エミール・ハーシュはまさにぴったりだ。若い頃のレオナルド・ディカプリオを思わせる童顔めの容貌は、誰もがつい好きになってしまいそうで、それでいてどこかに行ってしまいそうな儚さも纏っている。ハーシュが演じるクリスはとても眩しく、眩しいがゆえに、ハンサムで頭もいい好青年が失われることの痛ましさに胸を打たれるのである。
  この映画で、クリス演じるハーシュが、海辺の岩の上でひとり本を読んでいるシーンが好きだ。傍らのテントでは、一時行動を共にしている中年の夫婦が愛し合っている。その外で、膝を抱え、仙人のように本を読んでいる。孤独を感じながらも、クリスがそれをあえて選んでいることが克明にわかる秀逸なシーンである。ショーン・ペンは凄い映画監督だ。