懐に渦をひと巻き呑んでいる
己を見よ己の貌を見よ終列車
顔の皮剥がしてやらう青蜜柑
舌先の傷気になっている船旅
黄金の銀杏踏みしだく塵にする
交響曲第四十一番注意報
いちじくの裂けたるからだ甘かりし
ゆびさきや昼間は人の爪でいる
たてがみを濡らしてひとり立ちつくす


  吟遊49号投稿作。東京の銀杏並木の石畳。