ゆびさき

ゆびさきや昼間は人の爪でゐる


being still human nails
my fingertips
during daytime


  ちょっと怖い句もう一つ。既出だが、英訳は初。
  怖い歌句に弾みが付いて、倉坂鬼一郎著「怖い俳句」を読んでいる。著名人の怖いアンソロジー俳句版である。だが、短歌に比べると知らない人が多い。私がもともとは短歌から出発したことと、歌人より俳人の方が圧倒的に数が多いということもあるだろう。初めて聞く名前もたくさんあった。
  次の二つが呼応して怖い。一首目は「うたう百物語」にて、二句目は「怖い俳句」にて紹介。


静かなる首飾りたち一つずつ首が充たして草原となる   飯田有子「林檎貫通式」
月天心まだ首だけが見つからず    眞鍋呉夫「定本 雪女」


怖い俳句 (幻冬舎新書)