ピンヒールで夏雲蹴って着地せり


after jumped and kicked
summer cloud
i lunded


  先の9月16日、話題の公開句会「東京マッハ」が越境してきた、「札幌マッハ-北北東に越境せよ」を観戦した。千野帽子(日曜文筆家)、長嶋有(作家)、柴崎友香(作家)、堀本裕樹(俳人)、米光一成(ゲームデザイナー)の五名からなるトークショー。なかなか面白かった。小説家、ゲーム作家などの俳人でない人がいる混成集団で、やはりそういった人の句が面白い。
  トークの中でしきりと「ジョジョ句会」という言葉が出てきて、それはコミック「ジョジョの不思議な冒険」をお題にした句会で、それと同メンバーなのだという。それで、その特集が掲載されている「JOJO menon」を購入。この句がまた面白い。
JOJOmenon (集英社ムック)


注 上雑誌では最後に作者がわかる形になっているので、作者不明状態を楽しみたい方は以下ご注意。


墓石にジッパーがある開けて洗う      千野帽子
撃ち抜いたつもりでキスを草の花      米光一成
落下するあいだに結ぶ靴の紐        米光一成


  句会でも、このお二方の句がやはり私のセンスに触れるものであった(なお、この句会は「東京」と「農林水産物」がお題、とのことであった)。


秋祭り来て東京の地下の水         米光一成
桃むいて頭がすごいすごい変        千野帽子


  上のジョジョ句会では二句目に対し、季語を入れて「落ちる間に白靴の紐結びけり」としてはとの評もあったが、圧倒的に原句の方が良いと思う。「落ちる」と「落下する」の落下感の違い、その間に靴紐を結ぶような男が履いているのは爽やかな白靴であろうか?という疑問。私のイメージでは黒い革靴か、でなければ原色のエアーマックスだ。着ているものはトレンチコートか革ジャン。詩なればやはり結ぶ映像が大事ではないか、と思う。
  靴紐の句は明らかに男。女靴で返句といこう。