車のメーター句

いやに酔うなぁ昼の月見の金魚酒
幾百の徳利倒して恋終わる
ふふふいちごのドロップ含んだままキス
夫婦莢に収まっていて虫喰わる
よくお読み薄の原の落とし文
欲含み雫乗せたる花薔薇
庭燦々散歩の小径の麗らかさ
勇み世直し遠くにありて秋の空
文四百書いて流して待ち暮らす



 私の職場では車を使った後、走行距離数を算出するため、メーターを記録する決まりになっている。少し前のことだが、ガレージから居室に戻るまでに

車のメーターの数字に語呂合わせで字を当てる→その語呂合わせを頭にして一句詠む

というのを、頭の体操でやっていたことがある。 兼題よりずっと無理やりに、フィクションで作る。大抵の語呂合わせはうまく言葉にならず、相当なこじつけになることが多い。しかし、時として思わぬ面白い句が生まれることもある。そのような、オ、コレハと思う句を上に挙げた。徳利倒す、いちごのドロップ、勇み世直しの句は特にお気に入りである。
 ちなみに、もともとのメーターの数値は、上から順に下記の通りである。
 18247,19100,22215,22382,49043,49293,20333,53347,23400