十一月

十一月の森 寝静まるのをじつと待つ


  目が覚めたら外は雪景色。うっすらと湿った雪が積もっている。日中も暗く曇って時々霙。スウェーデンの作家ヘニング・マンケルの重厚なミステリを読むのに格好の日和だ。今日読んだ「タンゴ・ステップ」は暗く冷たい森が場面として登場し、十一月の雰囲気によく合った。日本人は北欧に対して、人間が人間らしく生活し、福祉が行き届いたひとつの理想郷として捉えている所があるが、マンケルの小説を読むと、北欧には北欧の現実と暗部があり、日本や他の欧米社会と変わらぬ悩みを抱えていることが伺われる。「タンゴ・ステップ」の主人公は、癌の宣告を受けた中堅の警察官。死の恐怖に悩みながら、そこから逃げるように事件に関係していく。淡々とした筆致ながら深い人間描写と、冷たく美しい自然が素晴らしい。


夏石番矢先生のブログにペータル・チェーホフ氏が紹介されている。
http://banyahaiku.at.webry.info/200811/article_12.html
東京ポエトリーフェス参加詩人の朗読がYou Tubeにアップされているらしい。昨日書いた田中陽さんの映像もある。
http://banyahaiku.at.webry.info/200811/article_13.html