書物

alzira2009-02-26

革の書を開き彗星を受け止める


  書物マニアではないが、その気はあると思う。集め出したらきりがない世界なので、深みにはまらないようにしている。なので、こんな本に出会ってしまうと危険なのだ。
  千歳空港の書店で、機内で読む手軽な本を探していてたまたま目に止まったものである。これが非常に面白く、興味がないわけでない稀覯本の世界が舞台とあって、あっという間に読んでしまった。
  本の主人公は、世に出たら世界を震撼させる危険な稀覯本を探し出す書物ハンター。ライトノベル系の作者とあって、少しアニメっぽい際立ったキャラクター設定と、娯楽度の高いストーリー展開だ。そこに、膨大な参考文献が引用されているところがバランスを欠いて面白い。ちなみに別のも読もうと買ってみた「麝香姫の恋文」(こちらは美女怪盗もの)にも参考文献がごそっとついており、軽く読み飛ばせる娯楽小説一本を書くのに渾身の調査を行う作者のようである。
  私は初版本に興味はなく、読めさえすれば文庫本で十分の内容重視派だが、発行部数が数百と非常に少ない詩歌句の世界では、発行時点で既に稀覯本といえなくもないものを買っているという気はしている。

  
  ps.句は最初金星としていたが、彗星に改作。今ルーリン彗星が来ているらしい。再接近の24日は残念ながら曇り、目にできなかった。