落下の王国
みづうみの鏡のなかの捜しもの
「The Fall 落下の王国」という映画をDVDで観た。素晴らしかった。スクリーンで観なかったのが悔やまれる素晴らしい映像美だ。CGを一切使わず、ロケが24カ国以上、13カ所の世界遺産で行われたという贅沢なつくりである。ある青年が少女に語って聞かせる空想の世界が舞台なので、登場人物はいささか珍妙で悪役の手下もいかにもな黒装束。それらがくるくる場面が変わる圧倒的な自然美や世界遺産の建造物を舞台に動き回るのだ。特に好きなのは、後半に出てくる結婚式のシーン。トルコの旋舞のただ中、オリエンタルな花嫁が美しい。そして白衣の司祭の顔がそのまま雪景色になるのが、ダリのだまし絵のようで面白かった。
そして、何より主人公の少女の愛らしいこと。この映画のために選ばれて、素のままの感性が失われないうちに映像化することに監督が拘ったとのことだが、それも納得である。
