吟遊

青葡萄獏に喰われてすべて砂


green grapes was
fed on the tapir
everything returned dust


  吟遊43号が届いた。同人として初めての号なので、届いたときはドキドキ。今回のタイトル「すべて砂」のタイトル句。
  吟遊は届くたびに厚さを増し、充実してきている。今回瞠目させられたのはポルトガルの詩人カジミーロ・ド・ブリトーの句。今日、たまたまガルシア・マルケスの「コレラの時代の愛」DVDを見たばかり。五十年以上一人の女性を思い続けたある男の半生を描いたこの映画と、つい重ね合わせてしまう。


南北
東西
ただ君を僕は追う
North and South,
West and East-
only you I will follow


君を愛する、君を飲む
いや、少なくとも君の
影法師になる
To love you,to drink you
or, at least, to be your
shadow


僕の左手を
いとしい百合に置く
右手はものを書く
I lay my left hand
on my beloved lily.
The right hand writes


カジミーロ・ド・ブリトー「最小限のエロス」
英訳 カジミーロ・ド・ブリトー テレザ・サルマ
和訳 夏石番矢