海馬

海馬になにか纏わり付いている深夜


something clings
to my hippocampus
in the dead of night


 マズい、惚れた。KAPITALという服のブランドにである。
 私はブランド料としての付加価値に全く興味がないノーブランド主義で、それよりは素材や製作者に物語や思想があるものに惹かれる。それでも、個別の服が気に入って買うことがあっても、製作者まるごと好きになるということはなかった。
 無目的にふらっと入った札幌の店舗で(すぐ隣の、目あてに訪ねた店がたまたま定休日で、そのままUターンするのも癪だった)、私は心奪われてしまった。店内の服を、片っ端から着てみたい。それだけではない。私の、野男系、野女系の同僚や仕事仲間にどれもこれも似合いそうで、ああ、これを着せてみたい、あれを着た姿が目に浮かぶ、と思ってしまったのである。ナチュラルでワイルドでワークテイスト、そしてトライバルな香りもする。仕事の歴史が刻まれた人に、より似合う服である。その上、ユニセックスのデザインが多くサイズも豊富。私のようなちょい太めは”お呼びじゃない”雰囲気のブランドが多い中、それも好感要因である。
 国産ジーンズの産地である岡山で、素材からこだわって製作し、独特の世界観により「幅広い年齢層に熱狂的に支持されている」という。私はかなり遅れてきたファンといえるが、ハイ、熱狂的に支持します。それなりの価格帯なので次々買うというわけにはいかないが、少しずつ、身に纏いたい。