添い遂げた馬の伝説山蒼し


the legend of two horses
that succeeded in each other until death
into the green mountains


  今までなぜかスルーしていた「ブロークバック・マウンテン」DVDを観た。そして、スルーどころか、公開時にスクリーンで見なかったことがとても悔やまれた。この映画の素晴らしさは、沢山の人により既に語りつくされているので、あえてここでそれを繰り返さないが、切ないラストシーンで泣いてしまったことは確かである。
  映画の前半、主人公の二人がひと夏カウボーイとして過ごし、その後思い出として大切に抱えることになる山の牧場での情景は宝石のように美しく描かれる。そして、演じたジェイク・ギレンホールは24〜5歳、ヒース・レジャーは25〜6歳。青年期の最も美しく眩しい時期に、こんな映画と巡りあえた役者は幸せだろうと思う。自然に見えて計算しつくされた映像美。並々ならぬ手腕の監督であることは間違いない。
  いくつか映画ではわからないことがあって、原作本を注文した。そして、何故か実在の人物のように、残されたイネスのその後が気になってしまう。映画の設定では1960年代に20歳前後という感じなので、生きていれば今は70代ということになる。最愛の人を亡くしてから三十年余、今でも、トレーラー・ハウスのクロゼットに思い出を秘めて、どこかでひっそり生きているんだろうか。それとも・・・
  難しい役柄に、そんな風に命を与えたまま逝ってしまったヒース・レジャーの夭折が、つくづく惜しまれる。