河凍るひとの胸では泣けなくて


I can't cry
on anybody's chest
−frozen river


  「ノルウェイの森」を読むと、村上春樹はかなり巧みに登場人物を書き分けているのがわかる。緑については服やアクセサリー、髪型やしぐさがとても具体的に細かく描写されるが、直子についてはあまりそれがない。そのせいで、読むにつれ緑は眼に浮ぶように現実味をもって感じられるのに、直子はその姿があいまいで、現実感に乏しい。この二人の対比が、読み手に無意識に刷り込まれるのである。
  英語でも読んでみたく、英語版を買う。