京都にて

脳(なづき)なき菌が這ひまわる秋野
石仏が塩噴いてゐる登り切る
あなたにもあなたの山河笑ひけり
葡萄粒噛み潰しつつ思ふひと
油小路に踏み入るなかれ彼岸花
路地を入ルもういちど入ル京の闇
蛸と牡蠣星の海にて不定
尾ひれにピアス身の重たげなる蘭鋳
肘ついて考へてゐる泡のこと
太きもの生えてをるぞよ京の夜



  所用で京都へ行ってきた。まだ紅葉は早いものの、気候が過ごしやすく、比較的空いていて、いい感じであった。紅葉は美しいであろうがたいそうな人出とのこと。この時期の連休などは狙い目かもしれない。
  夜、京都在住の俳句の先輩Hさんと会った。小さな雰囲気のよい居酒屋にて、参加人数二名のプチ句会開催。実は句会初体験だったが、楽しいものだ。その席でできた句をいくつか。一つできると弾みが付いて、次々出てくるのが面白い。怖い短歌の本の影響か、怖い句が多いかもしれない。その居酒屋で、生まれて初めて鱧(天ぷら)を食べた。とっても美味!すっかり京都の食の虜になってしまった。