カルナヴァル

桃節句三人官女はふつか酔ひ

three court ladies
have hangover
after girls' festival

キターーーーーーー！

金原まさ子句集 カルナヴァル

思わず柄にも無くネットことばを使ってしまうほどの衝撃。
金原まさ子さんの最新句集「カルナヴァル」を読了。最近スランプなのは、この方の句があまりに凄くて、自分の句が凡庸に見えて仕方ないからだ。

ひな寿司の具に初蝶がまぜてある
鳥貌で鳥の手足で桜守
海鼠盛りなまあたたかき器かな
八号室全焼はんざきの檻残る
青鮫が「美坊主図鑑」購いゆきぬ　　　　　　　　　　　　金原まさ子「カルナヴァル」

金原さんの句の魅力は、前衛だが具象だというところ。どんなに奇抜な言葉の取り合わせでも、決して無意味な配列でなく、それらが一枚の画を結ぶのである。それは、マックス・エルンストのコラージュ・ロマン画、マックス・クリンガーやゴヤの銅版画を思わせ、不思議な美しさを醸し出す。そして、この句集の装丁者は、そのことが実に良くわかって本を作っている。装丁はMalpu designという書籍デザイン会社によるもの。流石アーティスト集団の感性、行間にまで入り込んでいるイラストと句が見事に融合し一つの美術作品となっている。

慈善週間または七大元素 (河出文庫)