溶ける

謎という銘柄の酒 溶ける


the whisky of brand of
mystery
has melted


  まずいなあ。いや、旨いのだが。
  お正月帰省の帰り、羽田の書店で買った大沢在昌の「ザ・ジョーカー」を読んでいる。便利屋が主人公のハードボイルドでなかなか面白い。まずいというのは、この主人公が窓口をあるバーにしているという設定で、仕事を頼みにやってくる客は必ずそこで一杯やって、やおら仕事の依頼を切り出すというパターンなのだ。大沢の娯楽小説を読んだのは実は初めてだが、こんなに旨そうに酒を描写する作家もあまり記憶にない。実家で三が日毎晩宴会状態だったので、17日まで2週間の禁酒を宣言して実家を発ったのだが、あまりの旨そうな酒描写に、我慢できずとうとう一杯やってしまった。予定より5日も早い。本の選択がまずかった。父にはくれぐれも内緒である。