ハート

凶悪なる百万のハートハートハート


a million of
terrrible hearts,
hearts and hearts


  ティム・バートンの「アリス・イン・ワンダーランド」を3Dで観てきた。シュールでカリカチュアライズされた原作のキャラクターが、ジョニー・デップの演技により良くも悪くもややリアルな性格付けがされているのは前作「チェーリーのチョコレート工場」と同じ。こんなに原形とどめないくらいメーキャップされていてもジョニーとしての存在感がちゃんと出ているのが凄いと思った。それに、気に入ったキャラもある。ジョニー演じるマッドハッターに心酔する小さな女闘士、ヤマネのマリアムキンである。ああ、この闘志とやってることのズレ方、これは私だア、と思ってしまった。
  本作は必ずしも3Dでなくてもいいかも、という気がちょっとしたが、まあでも3D作品が出るようになってから映画館が盛況で、これはいいことだと思う。
アリス イン ワンダーランド 公式ビジュアル・ガイド (INFOREST MOOK)
  ティム・バートンといえば先日DVDで観た「ビッグ・フィッシュ」がとてもよかった。ユアン・マグレガー出演のわりにあまり話題に上った記憶がない地味な小品だが、バートン監督のファンタジー詩情あふれる秀作である。お父さんの危篤の知らせを聞いた息子が、アメリカに帰ってくるところから始まる物語。実話なのか法螺なのか判然としない話を振りまく父親に反感を持つ息子は疎遠だったが、死の床に着く父親に付き添ううち、最後には和解し父親を理解する。ファンタジア溢れる体験談(息子は完全に作り話と思っていた)の登場人物が次々葬儀に現れるラストシーンは感動的、間違いなく泣いてしまう。若い頃のお父さんを演じるユアン・マグレガーもとてもいい。
  ところで、タイトルの「ビッグ・フィッシュ」は、釣り人が逃した魚を語るときの法螺にかけてるんだろうね。父親は釣りも好きだったという設定だから。
ビッグ・フィッシュ コレクターズ・エディション [DVD]